ある時、お釈迦様が托鉢(たくはつ)をされている時、
「麦こがし」を差し上げた貧しい女性がありました。

お釈迦様は、

■■「今なされた善根(善い行い)によって、あなたは
必ず、大変素晴らしい結果を得ますよ」■■

と女性を励まされました。

ところが、何しろ貧しい農家の夫妻。

横で見ていた仏教大嫌いの主人が、怒ってお釈迦様に食ってかかったのです。

「そうやって、口から出まかせを言いって、お前は貴重な食べ物を巻き上げる気
か!」

ところがお釈迦様は、まったく落ち着かれた様子で、
さっと話題を変えて尋ねられました。

怒りに怒りで応酬するほどの愚はありません。

「あなたは、この世の中で、これは珍しいというものを見たことがあるかね?」

農夫は言いました。

「そうだな・・・・あの多根樹ほど不思議なものは無い。
一つの木陰に五百両の馬車をつないで、まだ余裕があるからなあ」

男が得意げに語るので、お釈迦さまは言われました。

「そうか。

■■そんな、とてつもなく大きな木ならば、タネはさぞかし大きかろうねえ。■■

ひき臼くらいはあるだろう。それとも、かいば桶ぐらいかな?」

「とんでもない。ほんのケシ粒ぐらいしかないさ!」

ケシ粒といえば、日本ではアンパンに乗っている、ゴマよりも小さい粒です。

そこままで男の答えを聞かれたお釈迦様。

■■「そんな小さなタネが、大木になるとは、誰も信じないねえ・・」■■

バカにされたと思った男は、頭から湯気をたぎらせ、
「だれ一人信じなくてもおれは知っている!」と、真っ赤になって息巻きました。

そこで、お釈迦さまは言葉を改められました。

■■「どんな麦こがしの小さな善根(ぜんごん・善い行い)といっても、
縁によっては、やがて大変素晴らしい結果を産むのだ・・・」■■
あなたのつらい心が、ふっとラクになるお釈迦様の智恵。
http://atsushi-sasaki.com/book/applly_a.html