『消えた傘の行方』
(これはフィクションです
)
雨の日、駅の傘立てにお気に入りの傘を置いた。
帰りに見たら、もうなかった。
ショックで駅員さんに聞いても、
見つからない。
「まぁ、仕方ないか…」
と帰ろうとしたとき、
駅の外で見覚えのある傘を見つけた。
見知らぬおばあさんがその傘を差していた。
声をかけようとして、
やめた。
傘の柄に、小さく貼った私のメモがあったから。
——「誰か、困ってる人が使ってくれたら嬉しいな」
…どうやら、あの日の私が、
未来の私を慰めてくれたみたい。
