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Life In Wonder

生きることは驚きの連続。発見の連続。日々の実感を書いています。

もっとうまくやれ。
もっと早くやれ。
指示された通りに。

誰でもそうしている、
お前もそうしないと価値がない。


そのとおり、と思い直して
誰かが言う「自分の仕事」に
取りかかる。

その瞬間、気づかないくらい静かに
体からポロポロとこぼれるもの。
それが自分の、らしさのカケラ。

ある時は、ふわふわと甘く、
ある時は、しょっぱくて、
ある時は、赤い鉄の味がする。

どんなに今、疲れていても、
こぼれ落ちたカケラを
やさしくていねいに拾って、
しっかりと胸に抱いて眠ろう。

その夜はきっと、
自分を癒やし、強くしてくれる。


あなたにしか、できないこと。
あなただけが、感じること。

それだけが、誰かを幸せにして、
世界を少し、前進させる。


誰でも、いつかきっと、
そのことに気づく瞬間がくる。

そのときのために、
今日はしっかりと眠ろう。
残暑の太陽に手をかざして
恨めしそうに睨みつつ
いつもの通りを歩いていると、

足元に突然、
きれいな白い花が現れて驚いた。

道端にひと株だけ、
白いユリが大きな花をさかせている。

しなやかに首をかしげて「何か?」
とでも言いたげな風情に、
いや、スミマセンでした、
と少し道をよけそうになる(笑)


しかしヤマユリでもないのに、
どこから来たんだろう。

ふと、ユリの花の見つめる先に
目をやると、
道路の向こう側に
小さな花壇があった。

たくさんの同じユリが、
道路のこちら側を見て
「ええーっ」
とざわめいているようで、
とてもおかしい。


そうか、君はひとり、
あそこから来たのか。


もとの花壇からすれば、
通りのこちらに来るなんて、
とても考えられないけれど、

こちらに来てしまった君には、
なぜこちらに来れないのかさえ、
わからない。

新しい世界へ飛び出すというのは、
きっと、そういう感じなんだろうな。


子供のころ、
外へ思いっきり飛び出した時の
体をすりぬけていくような風を
思い出して、

照りつける日差しに、
さっきはごめんな、と謝ってみた。

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みんなと同じ水槽で
おとなしくしていたら、
息が苦しくなって
死にそうになった。
みんなと同じところに居たくて
頑張ったけれど、
ますます苦しくなるだけだった。

ある日、
大きな手が僕をつかみあげて
「こいつは違うよ」
と海へ放り投げた。

どこまでも広く先は暗く、
仲間もいつものエサもなく、
僕を食べようとするヤツさえいて、
こんなことならもとの水槽で
死んだ方がマシだったかも
しれないと思った。

けれど、
自由に動き続けることで、
息だけは楽になった。

想像もできなかった
いろんなことが起こった。
うれしいことも、悲しいことも。

そんな中で、
たっぷりと息を吸いながら
僕の体はどんどん大きくなり、
今ではどんな魚よりも
早く泳げるようになった。

あのとき、僕はダメなやつだから、
世界から見放されたと思っていた。
今でも自分は何者だかわからない。

ただ、あの大きな手が
僕の人生を変えたように、
自分は自分の力だけで
生きるのではないこと、
それだけは知っている。

生かされ、生きているのだから、
きっと僕の命には
何かの意味があるのだと思う。

もしその大きな目的を
知ることができたなら、
それがたとえ僕の命を奪うことで
成就することであったとしても、
きっと僕は受け入れるだろう。

僕は、泳ぎ続けることでしか
生きることができない。
そう生まれてきたから。
そして今日も、速く速く、
泳ぎ続ける。
どこまでも深く、
大きなものに抱かれて。