私はスノードームを眺めるのが好きなのであって、
別に中に入りたいわけじゃないんだよなぁ。

…と、本当にスノードームに閉じ込められたかのような大雪の日。
果たしてどれくらい積もるのか戦々恐々です。毎年うんざり。
新潟は雪国だからさ、雪が降るのは仕方ないんだけどさ…。

最近読み終えた柚木麻子著「BUTTER」は2007年〜2009年にかけて発生した首都圏連続不審死事件において、毒婦と呼ばれた木嶋佳苗死刑囚をモデルにした作品。
実際は北海道出身だが、小説の中では新潟県阿賀野の出身という設定になっている。

作中の新潟の描写に不自然さはなく、よく取材して書いたのだなとわかる。
郷土料理ののっぺに筋子のおにぎり、のどぐろの刺し身と銘酒「謙信」、ローカルな遊園地サントピアに、地元の有名なヨーグルトメーカーといえば言わずと知れたあそこよね…と新潟県民ならうなずく情報が、さすが上手にちりばめられている。
この中で「新潟に行ったら食べてみてほしい思い出のお菓子」としてプラリネが出てくるのだが、 このくだりを読んだ時、思わず「おお!」とうなってしまった。
新潟名物として、普通だったら笹団子とか出てきそうなところに「プラリネ」だよ!これは昭和に子供時代を過ごした者なら誰でも「なつかしー!」と思うお菓子じゃないだろうか。
昔はなにかお祝いごとや不祝儀があると、必ず大きなお菓子の詰め合わせがお土産について、カステラや綺麗な上生なんかが並んでいた。
その中にプラリネが入っていると、それはもう大喜びしたものさ。
カステラ生地の上にキャラメルで固めたアーモンドを敷き詰めた特別なお菓子。
誰かのアドバイスだろうか、なかなかツボをついている。久しぶりに食べたくなったわ、プラリネ。子供時代、ものすごく特別だった高級なお菓子。今食べても同じくらい美味しいかな。
しかし、やっぱり新潟のイメージって「寒い」「暗い」「田舎」なんだわねー。
登場人物の故郷という位置づけでたまに出てくる「新潟」という土地。
この作品のモデルも、田舎にあきあきして都会に出た虚栄心のかたまりのような女性だし。
地方在住の作家が、地元を舞台に作品を書くことは多い。
本屋大賞をとった「成瀬は天下をとりに行く」は滋賀県大津市が舞台で、作者も在住。
福岡県在住の町田そのこ氏の作品は九州で展開しているものが多い。
私が好きな「コンビニ兄弟」は門司港の架空のコンビニ「テンダネス」が舞台だが、氏がサイン会を行った際に作られたテンダネス店内のセットが、門司港レトロ展望室の一階に残されている。


他にも北海道や仙台や大阪や…自分が住んでいる土地で事件を起こしたり、恋を実らせたりしている作家は多く、地元愛を感じていいなと思う。
いや、まて。
新潟だって小説家を生んでいる(しかも芥川賞までとっている)。漫画家も多い。
彼らはなぜ新潟を使わんのだ?いや、私が知らないだけなのか?
もし私が小説家だったら、新潟で事件とか恋とか青春とかハードボイルドとか(?)大いに起こして、ファンが聖地巡礼してくれるような話を書き、町興しに一役買いたい。
母校、新潟商業高校の吹奏楽部女子と野球部男子のアオハルなラブストーリーとかね。二人で小針浜で夕日を眺めたり、蒲原神社の夏祭りでぽっぽ焼き食べたり。一年生時にやらされる屋上での応援練習のエピソードは入れねばなるまい。
長岡花火の夜、殺人事件が起こるのはどうだろう。
犯人が新潟市まで逃げてきて、萬代橋の上ですったもんだするとか。
だめだ…私の発想力がとぼしすぎて、あるいはローカルすぎてやぼったい新潟から抜け出せない…。
これならまだ高校生が製作した地元PR動画の方が出来がいいというものだ。
地域興し協力隊に小説家を招くというのも一考の価値ありなのではないだろうか。

門司港の夜景は「日本夜景遺産」に選定されているそうな。
門司はバナナの叩き売りの発祥地だそうで、こんな粋なバナナマンが立っている。
地元民ほど地元の良さを知らないと言うが、一度よそ者気分で新潟を旅してみようかな。

