つぶやき
この本を読み終えて目を閉じると、真っ白な雪と氷に覆われたアラスカの大地で、ひっそりと、そして命がけで暮らしている人たちの生活が目に浮かぶ。
今、この瞬間、自分と同じように息をして暮らしている人たちがいる。
つい自分のことで精いっぱいになりがちな日々。
でも、この瞬間に、人の数だけ別の生活が営まれていることを想うと、自分の悩みから大きく距離を置くことができるような気がしてくる。
世界は広い。
人間もたくさんいる。
その分、違った人生がある。
幸せな人も、そうでない人も。
そんなことは分かっているけど、そんなことに改めて気づかせてくれる。
感想
この本を読んでいるとあたかも自分が今、アラスカの大地を踏んでいるような気になってしまうのです。
星野さんがカヤックで入り江を進むシーンなどは、本当に引き込まれます。
今自分が生きているこの瞬間に、どこかの海でクジラが大きくジャンプしている、そんな気持ちになれるだけでも、この本を読んだ価値があるなといつも思うのです。
それは現実からの逃避なのかな？とはじめは感じていたけど、最近はそうじゃないな、と思うようになりました。
もっと前向きな気持ちです。
俳優の三浦春馬さんが「人生を変えた本」として語っていた本でもあります。
この本について
書名：『旅をする木』
著者：星野道夫
出版社：株式会社 文藝春秋（文集文庫）
レビュー（他の方の）
”大昔になりますが、アラスカに住んだことがあります。
多分星野さんがアラスカに心酔して通い詰めていた時期と幾らか重なっていると思います。
アラスカは本当に一言では表現できない位素敵な場所でした。
私が住んでいたのはアンカレッジという綺麗な都市部だったのですが、少し車を走らせるだけで広大な自然が広がり、本当に人間なんてちっぽけなものだと思わされました。
アラスカは広大過ぎてそう簡単にはあちこちに行けませんでしたが、それでもマッキンレーを始めいくらかの土地を訪れることは出来ました。
星野さんの写真を見ていると、あの゛自然に抱かれている”という感覚をが蘇ります。
そして星野さんの文章を読んでいると、自然とあの頃の情景が浮かび上がってきます。
もう一度、死ぬまでにもう一度訪れたい地、それが私にとってのアラスカです。”