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空の彼方に浮かぶは雲
嗚々我が恋愛の名において
その暴虐の仕打ちさえ
もはやただ甘んじて許す
牛のように豚のように殺してもいい
いいのよ 我一塊の肉塊なり
戸川純「諦念プシガンガ」より
椎名林檎は好きですが、その歌と本人との間にどこかギャップを感じてしまいます。
「この人は本当はちゃんとした人なんじゃないだろうか」
「社会性のある、しっかりした人なんじゃないだろうか」
そういう疑いの気持ちがあるわけですね。
同様に、安野モヨコに関しても、
「この漫画には頭のおかしい人なんて一人もいないんじゃないだろうか」
「ただオシャレで個性的な人たちを描いた漫画なんじゃないだろうか」
そういう気持ちがあるわけですね。
滑稽さのない狂気というのはどうも納まりが悪いというか、「本当はマトモなんじゃないか?」という疑念がつねにつきまとうわけです。
その点、戸川純は素晴らしいです。
疑うとか、勘ぐるとか、そういった邪念を起こさせない。
「ああ、完全に一線を超えちゃったなあ」という素直な気持ちで聴く事ができます。
小難しい日本語の歌詞も、メロディと非常に良くマッチしていて気持ちがいい。
特に「諦念プシガンガ」は絶妙です。
あと、よく考えたら安野モヨコはもともと普通にオシャレな漫画なのかもしれないなあと思いました。
疑ったりしてすみませんでした。
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