「あたらしい憲法のはなし」:憲法について考える | lideli-rev

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あたらしい憲法のはなし (小さな学問の書 (2))/童話屋編集部
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みなさん、あたらしい憲法ができました。
そうして昭和二十二年五月三日から、私たち日本国民は、この憲法を守ってゆくことになりました。
このあたらしい憲法をこしらえるために、たくさんの人々が、たいへん苦心をなさいました。
ところでみなさんは、憲法というものはどんなものかごぞんじですか。
じぶんの身にかかわりのないことのようにおもっている人はいないでしょうか。
もしそうならば、それは大きなまちがいです。

「あたらしい憲法のはなし」 より



昭和21年11月3日、日本国憲法が公布された。
「あたらしい憲法のはなし」はその翌年に発刊された中学一年生用の社会科の教科書を復刊したもの。
ページ数は77ページ。中学生向けにやさしく分かりやすく書いてある。
憲法への理解が深まるのはもちろん、明快で簡潔な文章は、思わず何度も読み返してしまうほど味わいがある。

憲法にも政治にも関心がない、社会そのものに興味がない、でもなんとなくそれじゃいけない気がする、という人におすすめ。



この本、ところどころに時代背景が現れていて面白いです。
「くうしゅうでやけたところへ行ってごらんなさい。やけただれた土から、もう草が青々と生えています」
「みなさんの中には、こんどの戦争に、おとうさんやにいさんを送り出された人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか」
などなど。
美しい日本語というのはこういうのを言うんだなと思いました。

ちなみに私が一番好きなのは、「基本的人権」の部分。
自分の思うことを言い、自分のすきな所に住み、自分の好きな宗教を信じ、能力に応じて教育を受け、政治に参加する。
われわれは、人間である以上はみな同じです。みな同じ人間であるのなら、差別を受ける理由はないのです。
すばらしい。