⑨Squier Jazz Bass




基本的におれはネット上でベースを買うことはオススメしない。そのベースがどんな状態かもわからずに買うのはなかなかの博打だし、下手すればガラクタを何万も買うハメになりかねないからだ。だがこのベースは、とあるネット販売サイトで買ってしまった。おれがこのベースにそそられた点は以下の通りである。

・JVシリアルであること
・前オーナーがジャコ好きだったこと
・ジャズベのサブが欲しかったこと
・そこそこ安かったこと

以前に紹介したフェンジャパのプレべもJVシリアルだったが、とにかくこの時期のSquierを含むフェンジャパは作りが良いことで知られている。しかしながら、ネットのレビューなどを見るとよく書かれているのは、「キチンとした調整を行って初めてその本領を発揮する」ということである。しかしながら、そうは言ってもやはりJVシリアル。上記のプレベを買ったことで、それがどんな楽器であるかはすでに知っていたつもりだったので、少し迷ったがこのベースを購入することに踏み切った。
またおれは今までベースを練習したり、ベースがどんな楽器かを学ぶのにジャコの影響をかなり受けている。そのプレイだけでなく、ジャコがどんな楽器を使っていたか、どんな使い方をしていたかも結構調べたつもりである。そんなわけで、このベースはジャコファンならすぐにピンとくるルックスをしている。

ジャコのトレードマークと言えば1962年製のサンバーストのフレットレスベース、通称「Bass Of Doom」だが、実はジャコはそのベースを使う前は真っ黒のジャズベを使っていた。その後、Bass Of Doomを手に入れるわけだが、実はフレットレスに改造されたネックは、元々はその黒ベースについていたネックなのである。ジャコはその黒ベースのネックをとても気に入っていたのだろう。そんなわけでネックのみを付け替えたため、その黒ベースはまさしくBass Of Doomと兄弟機である、と言える。ちなみに、その黒ベースは現在、俳優でジャコフリークの中村梅雀氏が保有している。氏のHPにはもっと詳しくこの辺りの話が書かれているので、ぜひご覧いただきたい。

さて、そんな黒ベースを模した、というか模そうとしていたであろうこのベース。ジャコ仕様にするために、おれが買った時からすでにピックガードは外されていた。とは言うものの、まぁサンバーストのジャズベのピックガードを外すとあからさまにジャコっぽくなるが、黒ベースならまぁそんなに見た目も変わらないし、シックだしいいかな、くらいに思っている。購入当初はピックガードを買ってつけようと思っていたが、思ったより今のままでもスラップもしやすいので、特につける予定はない。
また、すでに別の記事に連載物として書いているが、ベースを買って大改造、極限まで調整しました、という一連の過去記事の対象はこのベースである。購入した時、このベースがどんな状態だったかはそちらをご参照いただければと思うが、とにかく使い物にならないレベルだった。今では一応9割は不自由なく使えるので問題無しとしている。どちらかというと、あそこまで状態の悪かったベースを普通レベルまで使えるようにしたので、手前味噌だがメンテの腕は上がったと思う。

他には若干ではあるが、メインのジャズベと比べるとわずかにヘッド落ちしやすい。ただまぁ演奏に支障が出るほどではないので、プレべの時のようにストラップピン延長みたいなことはしなくても大丈夫だ。
調整さえキチンとすれば、弾きやすさや音色は非常に良い。34年前の楽器とは思えないほどパワーもあるので、エフェクターのノリもいい。さすがはJVシリアルといったところか。

現在、弦はAtelierZのKenkenシグネチャーモデルを張っている。音色に関しては全く不満はないのだが、割とこの弦は張力が強めになるようで、それはつまりネックに対してはあまり優しくないことになる。ネックについては、過去の改造記事にも書いているが、トラスロッドを限界よりもさらに締め込んでいるため、弦のテンションはものすごくシビアにネックの反りに現れる。一応この対策として、今度、違うベースにもうすでに張っている弦を乗せ替えるつもりだ。それでネックも安定し、弾きやすさがパーフェクトになったら、おれのベースでもメイン機になれる素質はある。かもしれない。


おわり