一生懸命という免罪符

　「一生懸命」とか、「真面目」とか、「勤勉」とか、そういう言葉をやたらと使いたがり、人に押し付ける人がいるが、どうも違和感を感じてならないのです。

　それしかよりどころがない、方法論がない人は、そうやって行動理念を単純化することによって道を進んでいるという満足感を得られるからそうするんだろうけど、楽をしようとする心がよりシンプルな解を発見したり、自分の仕事や生活とは全く関係のないと思っていた人から革命的な方法を教えてもらったりすることだってあると思うんです。

　このような発言をするとなまけものであるとか、真剣さが足りないとか、生き残っていけないとか、そんなことを言われてしまいがちであるが、私は私なりに真剣にだらだらしてるつもりだし、一生懸命不真面目なつもりである。

　遊びの出来ない奴は仕事も出来ないなんていうつもりはさらさらないが、遊んでいても仕事が出来る人だっているし、遊ばなくたって仕事も出来る人もいるだろうし、遊んでばっかの奴のほうが仕事が出来てしまうこともあるだろうし、やっぱり真面目なほうが仕事が出来るってこともあるだろうし。

　イノベーションとは異質なものとの出会いによって生まれるとか、産業の芸術化なんてことをたしか、ポーター？ガルブレイス？が言っていたような気がするが、それが的を得ているとすると、今まで経済的な価値（特に効率）からかけ離れたものが、新しい価値のきっかけになるということで、例えば、佐藤可士和という人の作品は、SMAPのBest AlbamにVestの絵を入れたり、そのVestもユニクロのカラーバリエーションからヒントを得て色違いにしたりと、大いに遊び心によって新しいものが創りだされているなあと感じるわけです。

　糸井重里というクリエイターにもその精神を感じます。世界にマーケットを広げれば、単純化、効率化よりも、複雑化、・・・ごちゃまぜ化（異質なものを排除しない）ほうが、なんだか夢も広がり、それぞれが自由に仕事が出来るなあって気がするのです。

　結局自分が行儀よく真面目なんてできやしないから、夜の校・・もとい、自分を正当化するためにこんなことを言っているだけなんでしょうけども。

　自分の人生の中で見つけた私の尊敬する人々に共通することは、異質なものを内包して昇華する弁証法的な人間なのではないかなあと思うわけで。

　びゃーと書いて表現がゴリゴリしている部分もあるかと存じますが、大目に見てください。