2021年2月28日。この日に放送されたエピソードFINALを以って、スーパー戦隊シリーズ第44作目『魔進戦隊 ( ましんせんたい ) キラメイジャー』は全50週にわたるテレビシリーズの放送を終えた。
この一年は過去にないほどの災禍が全世界を襲い、キラメイジャーでも、キラメイレッド/充瑠役の小宮璃央 ( こみやりお ) さんが新型コロナウイルス感染のため入院し、番組は撮影を休止。エピソード10と11の間に5週の総集編や劇場公開作品のテレビ放送を挟むこととなった。放送終了後にも、打ち切りの可能性があったことが公式ホームページでも示唆されていた。
まずは、そんな状況下でも一年間の放送を走り抜けてくださったキャスト・スタッフの皆様にお礼を申し上げたい。
そして、皆様への感謝をこめ、本記事では『魔進戦隊キラメイジャー』の魅力について総括していく。私見を交えつつネタバレも含むものになるので予めご注意いただきたい。
宇宙の遥か彼方に存在する、美しき宝石の国―クリスタリア。
その輝きが今、失われようとしていた。
闇を崇める軍団、ヨドンへイムが侵略を開始したのだ。
クリスタリアの王・オラディンは、その娘であるマブシーナ姫に、
王家に伝わる伝説の5つの宝石―キラメイストーンを託し、決死の戦いに挑む。
マブシーナはオラディンの言葉を胸に、もう1つの美しき地――地球へ向かう。
そしてキラメイストーンと共鳴する、強靭な輝きの精神<キラメンタル>を持つ人間を探し始めるのであった。
以上が、東映公式ホームページに記載された『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』の粗筋である。
放送開始前にテレビシリーズの前日譚を劇場公開するという異例の試みからスタートしたキラメイジャーだが、私は2019年末に発表されたスタッフの布陣を見た時点で非常に大きく期待していた。
チーフプロデューサーを務める塚田英明 ( つかだひであき ) 氏は『特捜戦隊デカレンジャー』、『仮面ライダーW』、『仮面ライダーフォーゼ』といった作品のプロデューサーであり、メイン脚本を担当される荒川稔久 ( あらかわなるひさ ) 氏は『仮面ライダークウガ』、『特捜戦隊デカレンジャー』やオリジナルアニメーション作品『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』でシリーズ構成・メイン脚本を担当されているなど、お二人ともに私が個人的に好きな作品に携わってこられた方々である。特に、『特捜戦隊デカレンジャー』は放送から10年以上を経ても複数の新規映像作品が制作・上映される人気作で、私が子供のころに大好きだった作品でもある。それ故の信頼と期待である。
さて、キラメイジャーはその名の通り「キラめき」をテーマにした戦隊である。そして、主に「乗り物」と「宝石」をモチーフとしているが、その役割はただのモチーフにとどまらない。キラメイストーンと呼ばれる宝石たちは、劇中では戦士たちの相棒として時に励まし、時に喧嘩をしながらも彼らとともに戦ってきた。
そして、そのキラメイストーンたちによって戦士として見出されたのは、それぞれがキラめきに満ちた各界のスターたちである。
イケメンアクション俳優の押切時雨 ( おしきりしぐる ) 、美人すぎる外科医の大治小夜 ( おおはるさよ ) 、女子陸上界の彗星・速水瀬奈 ( はやみせな ) 、今をときめくeスポーツ界の大スター・射水為朝 ( いみずためとも ) …そんなキラメくメンバーのリーダーとして選ばれたのは、何も持たないただ絵を描くことが好きな普通の(人見知りな)高校生・熱田充瑠 ( あつたじゅうる ) だった。
レッドキラメイストーン/魔進ファイヤが充瑠の持つ想像力にキラメンタルを見出し、彼に肯定されて「変わる…変われる…変わりたい!」 と願ってキラメイレッドへと変身した充瑠。そして、同様に絆を結んだ人間と魔進たちの物語こそ、『魔進戦隊キラメイジャー』である。
人が輝くとき、そこに奇跡が生まれる。
輝き、それは未来を変える戦士の証。
キラメイGO!
1)懐かしさ
印象的だったのは<ちょっと懐かしい感じがした>とか<今風でもありレトロでもある>みたい感想がちらほらあがったところ。聞くところによると、「エピソードZERO」をご覧いただいた皆様のSNSなどでの感想にもそのようなご意見があったそうな…。私たちは決して狙いに狙ってそうしている訳ではなかったので(むしろ新しいものを作ろうと常日頃思ってますよ)ちょっと新鮮でした。
(東映公式HP「魔進戦隊キラメイジャー エピソード2 リーダーの証明 | 東映[テレビ]」より)
キラメイジャーを語るにあたって、まず述べておかなければならないのは「懐かしさ」である。
2012年の『特命戦隊ゴーバスターズ』が等身大戦闘と巨大戦を並行して行うことをはじめとした革命を成し遂げて以降、近年のスーパー戦隊シリーズでは、初期から9人編成の『宇宙戦隊キュウレンジャー』、テレビシリーズでは史上初となる2戦隊による対立を大きな軸とした『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』、編成こそ正統派なもののストーリーの奇抜さから"ケボる"という言葉も生まれてしまった『騎士竜戦隊リュウソウジャー』など、挑戦的な作風が続いていた。
しかし、本作はスタンダードな型、即ち「色とりどりの5人の戦士が名乗り、協力して悪の怪人を倒し、合体ロボットに乗り込んで再度迎撃する」という王道パターンに回帰した。これについては塚田プロデューサーも意識的に行ったこととして言及している。
さらに、本作の主な敵怪人は「邪面師」と呼ばれるが、初代スーパー戦隊『秘密戦隊ゴレンジャー』の「仮面怪人」をセルフオマージュしている。また、その邪面師のモチーフはその顔部分に集約され、ボディ部分は色違いの共通スーツを使用しており、モチーフにはラグビーに始まり万力、百人一首、マシュマロなどコミカルなものも多く取り入れられている。この辺りもまた原点回帰の一つといえる。
また、先述の通り、『特捜戦隊デカレンジャー』などの2000年代スーパー戦隊を手掛けたスタッフを中心に制作されており、その意味で「あの頃」を思わせる懐かしさもあった。序盤では、小夜の昭和ギャグ「なんたるちあサンタルチア」やジョイスティック邪面のセリフ「お前のハートにターゲットロック!」が『デカレンジャー』の劇中セリフや次回予告のオマージュであるなど、スタッフも意識して入れ込んでいたものと思われる。
懐かしさを感じさせる要素がふんだんに盛り込まれていた一方、新しい要素も数々取り入れられていた。スタッフ陣では、2018年の冬の劇場版『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』の大ヒットを導いた山口恭平監督がパイロットを担当。坂本浩一監督や渡辺勝也監督など東映特撮ではおなじみの面々だけでなく、同年放送の円谷特撮『ウルトラマンZ』でメイン監督を務めた田口清隆監督が起用され大きな話題となった。脚本陣には東映の脚本家職募集出身の金子香緒里氏や下亜友美氏をはじめとし、『仮面ライダーW』『獣電戦隊キョウリュウジャー』の三条陸氏、数々のヒーローショーを手掛けた井上テテ氏などが参加し、毎週個性あふれるストーリーが展開された。
2)序盤エピソードの組み立て
「変だよね」
(エピソード3「マンリキ野郎!御意見無用」より)
まずは、各キャラの序盤のお当番回について解説したい。これは、各キャラクターについて初めて掘り下げるエピソードがそのキャラクターの一年間の方向性の始点となるからである。また、本作は彼らがチームとして成立していく過程を描いていく物語でもあるため、視聴者にとってだけでなくキャラクター同士の関係性の始点となることも忘れてはならない。
まず、充瑠についてはエピソード1「魔進誕生!」で「持たざる者」「でも未知の想像力がある」ということがこれ以上なく描かれている。想像力に長けた普通の高校生というコンセプトが伝われば、まずは成立する。
エピソード2「リーダーの証明」では、その時点では一番フレンドリーに見える瀬奈が、リーダーとなる充瑠に激しく反発する。そして、これによって、一年を通して作品を貫く軸となる価値観を鮮やかに浮かび上がらせている。この価値観については次の項にて詳しく記載しているのでそちらを参照してほしい。ともかく、事件解決後に瀬奈が晴れやかな笑顔を見せたことで彼女の魅力を存分に伝えるエピソードとしても成立している。
エピソード3「マンリキ野郎!御意見無用」は、話題になって劇場版やGロッソでもコスられた"万力"のエピソードである。一見クールキャラに見える時雨をコメディ路線にキャラの幅を広げつつ、素でカッコいい為朝とカッコつける時雨の明確な差別化に成功している。
また、為朝についてはエピソード5「ショベローまかりとおる!」で相方の魔進ショベローを通して掘り下げている。同時に、為朝の人間味のあるところをフィーチャーしたことで、為朝が嫌味なキャラクターにならないようバランスを取っている。リーダーの資質を持つ為朝が一歩引きつつ、しっかりもののツッコミ役としてポジションを確立。
小夜はエピソード6「ツレが5才になりまちて」で幼児化させることでその心の中にある強固な信念を引き出している。柔和さと時折Sっ気を見せるミステリアスなお姉さんの芯にあるものをうまく引っ張り出しつつ、可愛さも魅せる名エピソードだろう。
上記で見てきた通り、最初の担当回にしてはキャラクターの振れ幅の広い思い切ったエピソードが多い。特に万力や幼児化は通常ならキャラクターがある程度固まった2周目以降で扱われるようなお話である。
しかし、本作は前述の「懐かしさ」や「型=ぱっと見どこかで見たことあるキャラ造形」に「職業や相方魔進のモチーフなどの周辺情報」が加わり、視聴者に脳内補完を促したことで、キャラクター性の定着に時間をそこまで必要としなかったのだと思われる。また、エピソードZEROの存在も、視聴者がキャラクターのイメージをつかむのに一役買っているだろう。
分かりやすい例としては、「ブルーがイケメン俳優で剣使い。相棒からはアニキと呼ばれて慕われている」という情報から、その人物はクールな兄貴肌のキャラクターを勝手に想定する。さらには演じる水石亜飛夢 ( みずいしあとむ ) さんのビジュアルもそこに拍車をかける。そのおかげで、最初の当番回で「万力に頭を挟まれ変顔をするイケメン俳優」という画によって、キャラクターの一貫性を損なうことなく意外な方向に膨らませることに成功したわけである。
もちろん、その後の当番回でも瀬奈が陸上を始めた意外なきっかけを描いたり、時雨のヘタレっぽい面と小夜のイケメンな側面を合わせて出したり、為朝の持つ作戦指揮能力の描写をひたすら突き詰めたりとキャラの掘り下げに余念がない。
また、本作の事件の発端となるマブシーナについても、エピソード4「亡国のプリンセス」やエピソード8「エクスプレス電光石火」などでたびたび基地を飛び出していることから、ただ大人しいだけの姫ではなく、行動力のある姫であることが描写されている。その裏には故郷を滅ぼされて父親を目の前で殺されたこと、その哀しみを背負いつつもキラメイジャーと協力して乗り越えようとする強さがあることもエピソードを通して伝わってくる。
また、恒例の追加戦士としてコロナ禍による放送休止後に登場したクリスタリア宝路 ( たかみち ) についても、初登場のエピソード12「ワンダードリルの快男児」から約1か月をかけてクリスタリア王家を中心とした設定周りを描くことで、キャラの背景や背負うものの重さを視聴者に提示した。
3)魅力的なキャラクターたち
相方が輝くとき、 宝石 ( いし ) も輝く。
今日は、相方大好き魔進が熱く語ります。
(「キラトーーク!相方大好き魔進」より)
キラメイストーンは宝石である。およそ顔と呼べるものはなく、手足も持たぬ彼らは豊かな表情を見せ、時には空を飛ぶ。コロナ禍の放送休止時期には、それぞれの相棒となる戦士やそれまでの戦いについて熱く語る特番「キラトーーク!」が2週にわたって放送され、話題となった。それは操演や演出、CGなどを担当されるスタッフの方々の努力、彼らが生き生きと喋って動いていることを表現するために実際に手の中で動かしてリアクションを取るキャスト陣の演技力、そして彼らストーンに声をあてて言葉を吹き込む声優陣の卓越した技術の結晶である。
また、本作ではオラディン王やヨドンの鬼将軍・ガルザをはじめとした主要キャラクター達は声優とスーツアクターの二人三脚で演じられている。その中でも特に注目したいのが、マブシーナ姫を演じた声優・水瀬いのりさんとスーツアクター・野川瑞穂さんのコンビである。
エピソード35「マブシーナ放浪記」は、日本茶で酔ったマブシーナが敵味方問わず、酔って絡んでひたすらやらかしていく衝撃的なエピソードであり、行動力はあっても基本的にはお淑やかで礼儀正しいマブシーナ姫のキャラクターが大きく崩される面白いエピソードである。野川さんの演じた衝撃映像に水瀬さんが当日初見で声を当てていたという話が公式サイトで明かされているのも印象深い。半年以上一人のキャラを演じられてきたお二人の関係あってこそのものであろう。
また、話題性が高かったキャラクターとしては、エピソード25より登場したヨドン軍幹部のヨドンナだろう。『特命戦隊ゴーバスターズ』のエスケイプ以来8年ぶりとなるレギュラーの顔出し女性幹部であり、予告の時点ではゲストキャラとして扱われていたというサプライズも大きな話題となった。演じたのがコスプレイヤーの桃月なしこさんというのも大きく、彼女がツイッターで流行らせたハッシュタグ「#ヨドンナ様しか勝たん」は最終的にテレビ朝日公式ホームページのヨドンナ紹介ページに逆輸入されるまでに至った。
生身のアクションの多いキャラクターであるため、そのトレードマークである肩に乗ったカラスは、撮影をより大変にしていたようだ。
なお、カラスというモチーフには充瑠役・小宮璃央さんの希望が反映されており、キャストの希望や視聴者の反応が反映されることも多い通年作品の良さが伺える。
4)新しい価値観
「1人1人が輝くために支えあうから5人必要なんです。そして、そんな5人なら居場所がバラバラだっていつだってチームとして1つなんです」
(エピソード2「リーダーの証明」より)
さて、『キラメイジャー』を語るうえで外せないのは、令和になって初めて作られたスーパー戦隊であるという点だろう。その名にふさわしく、極めて新時代的な価値観や考え方を提示している。そしてそれが一年間ブレることなく継続している。その根底には作品のテーマである『キラめき』を何よりも尊重する精神が流れている。この章では、一貫して描かれた「新しい価値観」を中心にいくつかのエピソードにスポットを当てて語ることとする。
エピソード2「リーダーの証明」では、陸上の大会とキラメイジャーの戦いが被ってしまった瀬奈に対し、「キラメイジャーは5人で1つじゃないといけない」と無理に戦わせるのではなく、代役ン(いわゆるコピー人形)に戦わせて瀬奈には大会に出てもらうという判断をする。ここで出たのが、上記の発言である。そして、瀬奈がきちんと大会に出たことで彼女の『キラめき』が守られ、それが最終的な勝利にも繋がるという物語の構成が『キラメイジャー』らしい。
エピソード7「トレーニングを君に」とエピソード8「エクスプレス電光石火」では、リーダーとして必要な基礎体力が足りない充瑠を他のメンバーが特訓する。しかし、文化系の充瑠には立て続けの特訓は負担が大き過ぎ、巨大戦の途中で倒れてしまう。基地に撤退した後、実質的な司令官である博多南無鈴 ( はかたみなみむりょう ) に「誰だって自分の時間が必要なんだよ」 と諭されたメンバーたちは充瑠に無理な特訓を強いていたことに気づかされる。彼らの謝罪に対し、充瑠は「文化系の体力のなさ、甘く見ないでほしいよ」 とエモい逆ギレをして復帰。邪面獣との戦いでは新戦力の魔進エクスプレスの力で逆転するのだった。
なお、その回では敵の兄弟邪面師の片方がウスギタゴールド(エナジードリンク)を飲みすぎた反動で不調になってガルザによって斬られており、キラメイジャーの結末が対照となっている。
エピソード19「相棒」は、いわゆる「入れ替わり回」である。スミカエ邪面の能力により、キラメイジャーたちは人格をそれぞれの相方の魔進と入れ替えられてしまう。そのため、戦闘に出ても、魔進たちは慣れない人間の身体でまともに戦うこともできず、追い詰められてしまう。そんな状況を基地から見守る魔進に入ってしまったキラメイジャーたちからはダメ出しばかり。しかし、人に褒められることでキラめける ことを思い出した充瑠の提案で、各自の相方を褒めて自信を取り戻させて逆転に成功する。
なお、このエピソードでは唯一の異性コンビである瀬奈/魔進マッハの入れ替わり(とマッハの気持ち悪い言動)がフィーチャーされがちだが、本来は充瑠およびファイヤがメインの回である点に注意してほしい。
エピソード26「アローな武器にしてくれ」では、新幹部・ヨドンナの能力で5体に増えたバクダン邪面に対抗するため、キラメイジャーはカナエマストーン・エネルギアを使ったパワーアップを検討する。しかし、最悪の場合には反動により死んでしまうリスクがあると危惧した充瑠が反対。充瑠たちはヨドンナの力で無理やり強化された挙句に自壊した戦闘員たちを見ていたのである。
充瑠は幼い頃から知る神主のヌシカンさんから、「弓に力を入れて引きすぎたことで、弓が耐えられず壊れてしまった」というオラディン王の過去の話を聞いて「限界は超えないためにある」 ことを知り、そこから時間制限の付いたパワーアップアイテム・キラフルゴーアローを創造。見事バクダン邪面を追い詰めることに成功するのだった。
エピソード30「誇り高き超戦士」では、博多南無鈴に真の戦士の素質があることやピンチの時にキラめけることが語られ、7人目のキラメイジャー〈キラメイゴールド〉になる可能性が示唆される。しかし、無鈴はサポート能力や気遣いスキルこそが彼が真の戦士たる所以 であり、前線で戦うのとはまた違った彼のキラメンタルの在り方が明かされる。このエピソードは、縁の下の力持ちとして働く多くの中間管理職に希望を与えたとか。
他にも、エピソード20「あぶないペア」などに登場した充瑠のクラスメイトの柿原さんや、エピソード31「おもちゃ」に登場した親子などいろいろなキャラクターたちにも通じているのがキラメイジャーの偉さである。
5)総括
キラキラ輝くために僕らはめぐり逢ったと思うから
(オープニングテーマ曲『魔進戦隊キラメイジャー』より)
コロナ禍でどうしても巣籠りを余儀なくされ気分が凹みがちになってしまうご時世に、そしていろいろな趣味が致し方なく制限されてしまうこの年に「好きなことを信じるチカラ」を大々的に掲げた『魔進戦隊キラメイジャー』という「肯定の物語」が放送されたことは、全国のファンにとって非常に有難い巡り合わせであったように思う。
今回取り上げた要素は本作の一部分、氷山の一角に過ぎない。終盤の展開や中盤以降に出てきた魔進たち、ヨドン軍のキャラクターたちについては敢えてあまり掘り下げていない。そこは是非本編を見てもらいたいからである。一通り見終わったという方々も、好きなエピソードが必ずあるはずである。是非、見返してほしい。本作は間違いなくスーパー戦隊シリーズの歴史に大きな爪痕を残した作品になっただろう。
現在は、夏に上映を予定されていたもののコロナ禍により延期された劇場版『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』が劇場版作品『スーパー戦隊ムービーレンジャー2021』の中の一作品として上映中である。
また、東京ドームシティのシアターGロッソでは『キラメイジャー』のヒーローショーシリーズ第4弾「Gロッソ最終決戦 輝け!キラメキの光!」が3月21日まで上演中である。
さらに、最終回の放送直後にサプライズ発表されたオリジナルビデオ、Vシネクスト『魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー』が4月29日より期間限定上映を予定している。
そして、『魔進戦隊キラメイジャー ファイナルライブツアー2021』も4月から5月にかけて各地で開催を控えている。
まだまだキラメイジャーの物語は続いていく。楽しみは尽きない。
来る3月7日からは、スーパー戦隊シリーズ第45作目『機界戦隊 ( きかいせんたい ) ゼンカイジャー』のテレビ放送が始まる。
正直に告白すると、キラメイジャーロスが一周回ってキラメイジャーのテレビ放送は終わっていないという錯覚すら覚えてしまっている自分がいることも否定できない。戦隊しかり、ライダーしかり、一年間見てきた作品の最終回の後は毎年のようにロスを味わっているが、これほどの喪失感を覚えた作品は初めてかもしれない。
それでもまずは『魔進戦隊キラメイジャー』に関わった皆様への感謝を以って本記事の締めの言葉とさせていただきたい。