1)
詩織が、気が付いたら、主神殿の大広間に仰向けになって、仲間に囲まれていた。その先には壁にもたれるようにして、ハナエルとカイアスもいる。
詩織は、皆から、一通りもみくちゃにされた後、異空間にあるいっちゃんのバーで、ハナエルとカイアスを含めて、何があったかを語ることにした。
2)
いっちゃんこと、逸見神酒のバーに戻ると、詩織は、人間に戻れたと、彼女に抱き着かれた。これで、正真正銘、逸見神酒(いつみ みき)になれたと感謝されたが、もう、蜂蜜酒は作れなくなってしまったらしい。
場が落ち着いたことを見計らって、ハナエルが詩織に問いただした。
「 さて、シオリに聞きたいことは、いくつかあるけれど、
あなた、私とカイアスに主神の権利を譲ったでしょ?」
「 うん。私なりに考えてさ。もし、私が主神になった後にさ、
両親や友達や親しい人が亡くなって、五千年もたった独りで
世界を司るなんて、私には、 耐えきれなかったから。
それに、ハナちゃんとカイアスのほうが、慣れてるだろうし、
これからの五千年、二人なら、寂しくないかなって思ったの。」
詩織の説明を聞いて、ハナエルとカイアスは、黙考している。
詩織の言葉を咀嚼して、納得したという表情をすると、
「 なるほど、よくわかった。わらわたちに任せよ。」
カイアスが、まず賛同し、ハナエルがカイアスの賛同に続いた。
「 まぁ。あたしは、元々返り咲くつもりだったし。」
その後、どのような願い事をしたのか尋ねられたので、逐一答えて、引継ぎを終えた。あとは、二人の仕事だ。
3)
金の世界と銀の世界も元通りだと、マリアとサクヤに告げたら、マリアは特に喜んでくれた。で、戻るのは二人だけかと思ったら、明日香も、向こうの世界に渡ることにしたという。もちろん、朱雀ことすーくんも一緒だ。
他の三柱の聖獣も、未だに詩織ほか、それぞれの巫女についている。
「 びゃっこくん。私、ただの人間になったけどいいの?」
と、詩織が尋ねたら、別に構わないのだそうだ。
とりあえず、説明することは説明して、詩織たちは、天界の主神殿を離れ、元の生活に帰ることにしたのだった。
【つづく】