今回は「ラッキー」の感想ブログです。
主人公はラッキーという90歳のおじいさんです。彼は90歳になってもずっと元気でピンピンしていました。しかし、あるとき突然倒れて医者に診察してもらうことになります。
医者に診てもらうと、彼は「老化ですね」と言われました。それからラッキーは自分が死に近づいていると感じ、恐れを抱くようになります。そして、死について考えるようになるのです。
その過程でラッキーはいくつかのことを学び、死についての考えをまとめます。
まず、クロスワードパズルで知ったリアリズムという言葉から、「現実をありのままにみて受け入れる態度」を学びます。
そして、ペットショップで餌になる生き物も、自分も、いつかは必ず死ぬんだということを悟ります。保険のセールスマンと話して、遺産をどうするかという終活をしたところで死ぬことに変わりはないではないかと言い放つのです。
また、行きつけのカフェで会った、元海兵隊の老人から死を前にして微笑んだ仏教徒の少女の話を聞きます。
大きくこの3つの出来事から、ラッキーは自分は必ず死ぬんだという現実を受け入れ、その現実に対して微笑むという態度を獲得するのです。
ラッキーは映画の最初では攻撃的な性格でした。常に元気で、攻撃的で、太平洋戦争を経験した人物のケンカへの自信のようなものがありました。
それに対して、自分が必ず死ぬ運命にあると悟り、それを受け入れ、受け入れた現実に対して微笑むという態度を獲得したラッキーは穏やかになります。
この映画を通して、ラッキーは今までよりも一つ上の視座を獲得しているのです。1つ1つの出来事に一喜一憂する日々から、その一喜一憂する日々を1つ上の視座から愉しむことが出来るようになったということです。
肉体的な老化という避けられない死へ直面したことにより、生きることの愉しさへと開かれたラッキーの物語でした。
それでは、今回はこれで終わります。最後まで読んでいただいてありがとうございました。