ベルナルト・ハイティンク

Bernard Johan Herman Haitink(1929-2021)

 

膨大な録音を残した万能指揮者

 

 

オランダの指揮者。32才という若さでアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任、2019年に引退するまで長く活躍した。ピアノやヴァイオリンとの協奏曲にもよく表れ、どんな作曲家のCDを聴いてもハイティンクの名前が必ずある、とにかく最もたくさん演奏し、最も多くの録音を残した名指揮者といえばハイティンクだろう。

 

特筆すべきは「聴き比べ」(同じ曲を複数の指揮者で聴き比べる)をすると、ハイティンクが必ずいるだけでなく、確実にランキング上位に入ってくるということ。これは、何を弾いても確実に素晴らしい演奏を残す指揮者であるという証明です。

 

ハイティンクの音楽の特徴は、確実性と安定感、そして自然さです。基礎能力と高さと音楽作りの確実性の高さゆえに、ハイティンクの演奏を聴いて違和感を感じる人はほぼいないでしょう。リズムやテンポ感の安定感、細部もよく聴こえ、情熱的ではあるものの過剰な表現やムダな創作は無し。しかし時々個性的な表現やチャレンジがあったり(人間らしくて好印象)、ラストなどここぞという時の盛り上がりも何気に上手かったりする。

 

ゴリゴリ系のブルックナーやショスタコーヴィチあたりは、もしかしたら物足りないのでは?と想像してしまうが、実際に聴くとはそんなことは全く無い。それは音楽に芯があり、サウンドの豊かさがあるからだろ。

 

ではランキングキラキラ

 

 

★★★★(4/5)

 

リズム・ビート・グルーブ感 ★★★★

構成・展開力 ★★★★

ダイナミクス・インパクト ★★★+

美しさ・歌・センス ★★★

緻密・繊細さ ★★★★

サウンド・音色・色彩感 ★★★★

カリスマ性 ★★

魔力 ★★★

万能さ ★★★★★+

人気・ユーモア ★★★

 

 

ピアニストのブレンデルやグールド、指揮者ではカルロス・クライバーやアバド、ハイティンクの世代の1930年頃までに生まれた黄金世代以降を堺に、音楽の様子はガラッと変わっていく。2021年にハイティンクが亡くなり、時代がこれで完全に終わってしまったのではないかと思う人はきっと多いだろう。

 

マーラー「交響曲 第1番 “巨人”」