カール・ベーム
Karl Böhm(1894-1981)
音楽界の絶対創造主
オーストリア生まれ。20世紀で最も偉大な指揮者の一人で、私はショルティやバーンスタインらと並ぶ、指揮者の「五大巨匠」と呼んでいる。
実は私、音楽を聴くとかなりの確率で寝てしまいます。。そして音楽を長い間聴くのも苦手で、すぐ飽きちゃうんです。。そんな私が、いつ聴いても何を聴いても不思議と飽きないで聴けることができるのがカール・ベーム
晩年時代の映像を見ると、何やらブツブツと言っている田舎くさいおじさんですが、偉大な音楽家達から尊敬を集め、人気だってカラヤンやバーンスタインに負けていません。
ベームはきわめて独創性の高い特徴がありますが、私の拙い文章力では説明が難しい
いざ音楽が始まると、最初はごく普通と感じるものの、徐々に「音楽の遊園地」へ引き込まれていきます。色とりどりのサウンドや様々な素材が四方八方に飛び交う立体的な世界。音楽の「量」の多さにびっくりするものの、それは何かを付け加えたり、盛ったり、派手にしようという意図は一切無い。素材を旨みを(誰も気付かなかった)限界まで引き出し、他とは違う別世界の音楽を作り出していく、例えるなら「究極の日本料理」のような世界が繰り広げられていきます。
完璧主義というよりはどちらかというと几帳面であり、丁寧に音楽を構築していく。ビートやテンポはどちらかというと動かさないタイプだが、時に驚きを伴う面白い動きをすることもある。ムダがなく、存在すべきもののみ存在させている、いわゆる「引き算型」の演奏スタイルであるにも関わらず、生まれる音楽はまるで玉手箱からザクザクあふれ出るようなお祭り感があるのはなぜなんだろう?
ドヴォルザーク「交響曲 第9番 ”新世界”」
ベームの手にかかればまるで4Kで見てるかのような、夢の中でその世界に行っているかのような錯覚に陥ります。例えば第2楽章のメロディ。一音一音ずつが魂を持って生まれて、その全てに存在する意味があって、伸ばした音は永遠に続くのではないかと錯覚するほどにやや長めに引っ張って、スッと消える。たった一音にこれほどまでの「美」を埋め込むことができるのは、ベーム以外にいるだろうか?
ビート上で、どのタイミングで音を出すか、どう音を出すか。そして、どのタイミングで音を消すか、どう余韻を残すか。ベームの凄さはここにある。
ベームの師といえるのはブルーノ・ワルターだが、その音楽は前向きで、楽しさと心地よさ、そして幸福感がある。モーツァルト、ワーグナー、ブラームス、ブルックナー、残された録音は全ておすすめ
ではランキングです
★★★★★(5/5)
リズム・ビート・グルーブ感 ★★★★
構成・展開力 ★★★★★+
ダイナミクス・インパクト ★★★
美しさ・歌・センス ★★★★★
緻密・繊細さ ★★★★★
サウンド・音色・色彩感 ★★★★★+
カリスマ性 ★★★★
魔力 ★★★★★
万能さ ★★★★
人気・ユーモア ★★★★+
シューベルト「交響曲 第9番」