完璧なAIロボット

彼は完璧なAIロボット。

彼に分からない事はない。

全ての事象において正しい判断を導き出す事が可能だ。

そんな彼は試験的にこのスーパーマーケットで働く事になった。

店長「これからよろしくね！まずは仕事を一通り教えていくぞ！」

AIロボット「よろしくお願いします。」

・・・

店長「今日1日お疲れ！さて今日の売上は...あれ？」

AIロボット「店長。今日の売上は362万4821円ですが、パートの柳さんがお釣りを間違えて渡していたので、レジと金庫の総額は19円少ない額となっております。」

店長「お...おう...」

・・・

店長「えっとナスは...一応発注しておくかな...」

AIロボット「店長。来週からナスの仕入価格が急激に下がる事が予想されるので、仕入は来週以降が宜しいかと思います。」

店長「お...おう...」

・・・

AIロボット「店長。30分後にゲリラ豪雨が起こります。店外商品を移動し、ビニール傘を陳列した方が宜しいかと思います。」

店長「お...おう...」

・・・

AIロボット「店長。缶詰コーナーに居る少年が98％の確率で万引きをしますので注意が必要です。」

店長「お...おう...」

・・・

店長「なんでこんな事を？」

万引きした少年「...家が貧しく弟がいつもお腹を鳴らしているので、どうしても弟に食べさせてあげたいと思って盗んでしまいました。ごめんなさい。」

AIロボット「店長。視線の動きや仕草等から、この少年の発言に虚偽は無いと思われます。」

店長「...おう」

万引きした少年「...警察に行きます。」

店長「...あーそういえば、俺は品出しの途中だったんだー。」

万引きした少年「...えっ？」

店長「おい坊主！俺はこれから10分間、残りの品出し作業に戻ってこの部屋を空ける。だか逃げるんじゃないぞー。仮に...仮にだぞ、盗んだ物を全部持って逃げたとしても、わざわざ追い掛けたり警察に通報するような面倒な事はしないが、逃げるんじゃねぇーぞ！いいか？俺の言いたい事は分かったな？」

少年「...はい...ありがとうございます」

店長「よし...じゃあ10分間品出しに戻るとするか。あー...この部屋を出て右に行くと従業員用の出入口があるんだったなぁー。おーいロボ君、換気の為に10分間だけ開けといてくれる？」

AIロボット「承知しました。」

・・・

AIロボット「店長。先ほど万引きした少年が、盗んだ商品を持って従業員用出入口から逃げようとしたので捕まえておきました。」

店長「お...おう...」