「結婚の自由をすべての人に」訴訟について、
各地の判決を元に考えてみたいと思います。
札幌地裁:違憲
大阪地裁:合憲
東京地裁:違憲状態
名古屋地裁:違憲
福岡地裁:違憲状態
「公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」のHPより:
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2019年2月14日、性別を問わず結婚ができるようになるよう
「結婚の自由をすべての人に」訴訟が始まりました。
札幌、東京、名古屋、大阪の裁判所で一斉に提訴された後、
2019年9月には福岡の裁判所でも始まっています。
また、東京では2021年、第二次訴訟も始まりました。
この「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、
法律上の性別が同じカップルが結婚できないことが憲法違反だと
正面から問う、日本で初めての訴訟です。
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札幌・大阪・東京・名古屋・福岡での判決を見ると、
社会情勢は変わりつつあると認めています。
そして、同性カップルは異性婚と同様な利益を享受るることができていない。
ということも大方、共通した認識を示しているようです。
LGBT理解推進法も後退した内容になったようですし、
全体的には、ずいぶん前進したと、個人的には思っています。
しかし、まだまだ差別は残っています。
ですから、同性婚の法制は一歩ずつ前に進んでいるとは思いますが、
道のりはまだ先なんだなあ、と感じます。
しかし、「行動をしなければ、なにも変わらない」のです。
一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟は大きな意義を持っています。
下記に判決要旨等を記載しておきます。
民法・戸籍法の規定に対して、
札幌地裁:2021年3月17日
・憲法24条に違反しない。(合憲)
・憲法14条1項に違反している。(違憲)
参考ブログ
大阪地裁:2022年6月20日
・憲法24条に違反しない。(合憲)
同性カ ップルの公認に係る利益の実現のためにどのような制度が
適切であるかの議論も尽くされていない現段階で、
直ちに本件諸規定が個人の尊厳の 要請に照らして
合理性を欠くと認めることはできない。
今後の社会状況の変化によっては、
同性間の婚姻等の 制度の導入について何ら法的措置がとられていないことの
立法不作為 が、将来的に憲法24条に違反するものとして違憲になる可能性は
あるとしても、立法裁量の範囲 を逸脱しているとはいえない。
・憲法14条1項に違反しない。(合憲)
同性愛者であっても望む相手と親密な関係を築く自由は
何ら制約さ れておらず、それ以外の不利益も、
民法上の他の制度(契約、遺言等)を用いることによって
相当程度解消ないし軽減されていること、法制度 としては存在しないものの、
多くの地方公共団体において登録パートナ ーシップ制度を
創設する動きが広がっており、国民の理解も進んでいるなど
上記の差異は一定の範囲では緩和されつつあるといえること等からすると、
現状の差異が、憲法14条1項の許容する国会の合理的な立法裁量の範囲を
超えたものであるとは直ちにはいい難 い。
東京地裁:2022年11月30日
・憲法24条1項に違反しない。(合憲)
・憲法24条2項に違反する状態にある。(違憲状態)
・憲法14条1項に違反しない。(合憲)
参考ブログ
名古屋地裁:2023年5月31日
・憲法24条1項に違反しない。(合憲)
社会情勢が変化していることを考慮したとしても、
憲法が一義的に同性間に対して現行の法律婚制度を及ぼすことを
要請するに至 ったとは解し難いといわざるを得ない。
したがって、憲法24条1項に違反するとはいえない。
・憲法24条2項に違反する。(違憲)
同性カップルに対し、その関係を国の制度に よって公証し、
その関係を保護するのにふさわしい効果を付与するための
枠組みすら与えていないという限度で憲法24条2項に違反するものである。
・憲法14条1項にに違反する。(違憲)
同性 カップルに対して、その関係を国の制度によって公証し、
その関係を保護す るのにふさわしい効果を付与するための
枠組みすら与えていないという限 度で、
国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないから、
その限度で憲法24条2項に違反すると同時に憲法14条1項にも違反する。
福岡地裁:2023年6月8日
・憲法24条1項に違反しない。(合憲)
同性愛者に対する知見や国民の意見、
社会状況が変化していることを考慮しても、
憲法24条1項が同性愛者の婚姻の自由保障しているとは
解することができない。
・憲法24条2項に違反する状態にある。(違憲状態)
立法事実が相当程度変遷したものと言わざるを得ず、
同性カップルは婚姻制度を利用することによって得られる利益を一切認めず、
自ら選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない本件規定は
もはや個人の尊厳に立脚すべきものとする憲法24条2項に
違反する状態にあるといわざるを得ない。
・憲法14条1項に違反しない。(合憲)
婚姻を異性間のものに限り同性間の婚姻を認めないことが
性的指向による区別扱いに当たり、
その合理性の判断には慎重を要するにしても、
立法の裁量権を超えるものではない。
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