ヒルティ「眠られぬ夜のために 第二部」(岩波文庫)より一月八日
ヨハネ13-34「互いに愛し合いなさい。私(イエス)があなた方(弟子たち)を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい」
この人間の相互関係の原則は、法律上の権利と義務という平均的な社会規範に対して、依然新しい。生得の人間の倫理的水準は、たしかに最高の場合、良心の命令を受けた公正と人道の法則である。しかし現実において幅を利かせるのは生存競争と享楽の傾向である。良心はその抑止力にすぎない。この掟は、一時代の教育の対象ではなく、各人が努めて、しかし有限の人間の努力のみに頼らないで、体得すべきものである。この生活原則からは、超自然的な保護と祝福が期待できる。ただ、人間を正しく判断し、しかもなお彼らを愛するという段階に至るのは、たいていは人生の晩年である。(以上大意)