最近奴等が現れる。
黄と黒の縞模様に親指ほどはあろうかという巨体。
戦闘機のような爆音とともにやってくる。
そう、スズメバチです。
なにやら俺の部屋の前に巣を作ってしまったらしい・・・
アパートのガラス越しに目の前の生垣を見ると、常に結婚式でもやってんのかと言いたくなるほどの大盛況ですからね。
てめーらには女王様がいるだろうが!
なんていうかさ、まだ生垣を飛び回るミツバチとかだったら全然構わないですよ。
休日の気だるい朝、カーテンを開けて朝日を浴びると目の前にはせっせと働くミツバチたち。
今日も蜜を集めたりダンスを踊ったりで忙しそうだ。
それを見て優しく語りかけながら軽めの朝食をとる。
「今日も働いてるのかい?」
「何よ。今忙しいんだから話しかけないでくれる?」
「まあいいじゃないか。少しぐらいサボったってバレやしないさ。」
「ふん。ゆとり世代のあなたとは違って私たちは真面目なの。」
「固いこと言うなって。今日は一週間で最も気楽な土曜日なんだぞ?」
「その週休二日制がゆとり教育の始まりなのよ。全く。」
「まあいいじゃないか。『こんどから土曜日は全部休みになります』って先生が言ったときの喜びときたら凄かったんだぞ。」
「だから今になってもサークルもバイトも一切やらずにそうやって休日は廃人と化してるのね。」
「なんだよ。別にいいじゃないか。そんなことよりこないだやってみせた八の字ダンスやってみてよ。」
「いやよ。意味も無く踊ったらみんな混乱しちゃうじゃない。第一あんたあれ見ても何のことか分からなかったでしょ。」
「冷たいなあ~。当たってるけど。」
「ちゃんと勉強しないからよ。これで先進国の大学生なんだからヒトも長くないわね。」
「ははは。ま、そのときは君たちががんばってよ。ライバルはスズメバチあたりになるかな?大変そうだ。」
「・・・ホントお気楽な奴ね。」
「まあね。」
「あっ!」
「どうしたの?」
「あっちにいいスポットが見つかったみたい!みんな向かってるわ!」
「ホントだ。先越されちゃったみたいだね。」
「あんたが話しかけるからよ!急いで追いつかないと・・・」
「また一段と忙しくなりそうだなあ。んじゃがんばってきてね。」
「まったく誰のせいだと思ってんのよ・・・。私が行って来る間にひとつぐらいレポートやっておきなさいよ。」
そう言って飛び立ったハチを見送った後は、またいつものようにギターを手に取り静かに弾き始める・・・
なんて朝のワンシーンならむしろ微笑ましいんですけど、全然そんなことはありません。
実際は上の読み返して死にたくなった妄想会話の相手がドスの効いたそちらの業界のお方で、俺は風呂上りの隙を狙われて絶体絶命みたいな状況の方が正しいです。
ホント風呂上りに入ってきて突進してくるのは反則だ・・・
絶対どこかしら刺せるじゃん。
なんか引っ越してきて二ヶ月でこんな命の危機を迎えるとは思わなかったですよ・・・
ポケモンで言うとマサラタウン出たら次はいきなりシロガネ山!みたいなありえなさ。
明らかに攻略不可だッ!
てか今の季節であんだけいるってことはこれから先どうなっていくんだ!?
俺の経験的に夏から秋にかけてがスズメバチの危険度高そうな気がするんだけど。
そのうちあの白い防護服着て生活するようになるかも知れん・・・
俺はパナウェーブか。
今度あのバズーカみたいな殺虫剤買ってこようっと。