ロードが案内されたのは、歩いて数分の森の中で一番高い大木の根元だった。
「見たところ家らしき物は無いようだが…」
「この上に私の家があります」
「上?」
ロードは上を見上げた。地上20m程のところの太い枝にログハウスが建っていた。
「どうやって上るんだ?」
「こうするんです」
メイメイは右手を大蛇に変化させた。
ロードその光景を見て驚きを隠せないでいた。
「その手は!まさか、俺を襲った蛇というのは…」
「私が腕を変化させておりました。さあ、私に掴まってください」
メイメイは大蛇に変化してない方の手を出した。ロードはその手の手首を掴むとメイメイはロードの手首を握り返した。
「ちょっと重力がかかるんで気をつけてください」
メイメイはロードの返答なしに大蛇を伸ばし、ログハウスが建ててある枝の付け根に巻き付け、まるでエレベーターのように上っていった。
上るとすぐに扉があった。
「どうぞお入りください」
メイメイは扉を開けてロードを中に案内した。
「お邪魔します。うわぁ…」
ロードは中に入るとすぐに、家の中に生い茂っている新緑に目が行った。
「すごいな…」
ロードは辺りを見渡した。一面緑だった。
「適当なところに座ってください」
メイメイはロードに促した。ロードは比較的木の幹の色が露出している部分に座った。
「それでは、何からお話ししましょうか?」
メイメイはコップに入った水をロードに手渡した。
「そうだな…。じゃあまずはなぜ俺を襲ったのか、それを聞かせてもらおうか」
メイメイはロードとテーブルを隔てて座った。
「そうですね…」
メイメイの話をまとめると以下の感じである。
数年前まである一国の国王に仕えてきたが、度重なる粗暴に愛想が尽き城を退去。そして、この人気のない森で暮らしているという。度々その国からの使者が来るので追っ払っているらしい。メイメイはロードを使者だと勘違いしたので遅いかかったのだという。
ロードはメイメイの話を熱心に聞いていた。
「…よほど横暴な王様だったんだな」
「ええ。しかし元々は慈愛に溢れる素敵な方でした。ロキという家臣が来るまでは」
「ロキだと?お前、サタンのところに支えてたのか?!」
ロードは身を乗り出した。メイメイは体をのけ反らせて引いた。
「そ、そんなに熱くならないでください。話しづらいです…」
「えっ、ああ、すまん」
ロードは元の位置に戻った。
「あの人が来てから王は変わり果ててしまいました。住民には平気で重税を課し、社会福祉も滞りました」
「その王の現在を知っているか?」
「いえ。今は何を?」
「他の国に侵略している。理由はわからない」
「そうですか…。とうとうそこまで………」
メイメイはため息をついた。
「今となってはもう無関係とはいえ、悲しいですね…」
二人に沈黙が訪れた。
ロードはメイメイを味方にできるか試すことにした。
「……なあ」
「何でしょう?」
「俺は仲間と共にサタンのやつと戦ってるんだ。無理にとは言わない。初対面で言うのも何だが、協力してくれないか?」
「……それは出来ません」
メイメイは俯きながら答えた。
「そうか…」
ロードは立ち上がった。
「すまなかったな。またどこかで会おう」
ロードは玄関のドアのノブに手をかけた。
「あっ、あの」
「何だ?」
「何かお困りでしたら私が力になりましょうか?」
「あー、じゃあ是非とも頼みたいことがある」
リリスとルシファーは天海城の屋上にある小屋の屋根に降り立った。
「まさかこんなところで落ち合うなんて誰も想像しないだろうな」
ルシファーがそんなことを呟いていると、城壁の上にハクの姿が見えた。
ハクは二人の姿を確認すると、驚いた表情で二人の方向を指差した。
「何だ?」
すると、大きな剣が二人に向かって振り下ろされる直前だった。
二人は素早く斬撃を交わし、ハクのもとまで飛んでいった。
剣の主はゆっくりと構え直した。
「おかしいですね、侵入者は一人と聞いていたのに」
白い鎧からは活発な少女を彷彿させる女性の声が聞こえた。
「ハク、あいつは?」
ルシファーが聞いた。
「スカイゴットナイト・ヴァーチェ。天海国王の家臣です」
「幹部か」
「ここは私に任せて。二人は早くターゲットに」
「わかった無茶はするなよ」
リリスを残して二人はギガンテスが住む家の方角へ向かった。
「待ちなさい!」
ヴァーチェもその後を追おうとしたがリリスに前を阻まれた。
「邪魔です!」
ヴァーチェは両刀剣=閃薙刀デュミナスを構え、翼を広げてリリスに突っ込んでいった。
リリスは体を反らせて交わした。
「勢いだけが取り柄ね。『クイックブースト』!」
リリスは超高速でヴァーチェに近づき、背中に毒鎌ラミアで斬りつけた。
ヴァーチェが怯んだと見ると、すかさず連撃叩き込んだ。そして両足揃えて蹴り飛ばし、ヴァーチェは城壁に激突した。分煙が上がっている中、リリスは追撃をするべくまっすぐに突っ込んでいった。
「『邪霊封印』!」※テクニカルダンジョン、アイテール砂漠参照
突如噴煙の中から黄色の魔方陣が飛んできて、リリスの動きを封じた。
すかさずヴァーチェは閃薙刀デュミナスの一振りををリリスに叩き込んだ。リリスは地面に叩きつけられた。
リリスはすぐに態勢を立て直し、ヴァーチェと同じ高度まで飛び上がった。
そして両者は武器を構えて真っ向から突っ込んでいった。
「着きました」
ハクとルシファーはギガンテス宅の近くのビルの屋上に降り立った。
「目標の外見を確認しておきたい。写真か何かないか?」
ハクは懐からギガンテスの写真数枚を取りだし、ルシファーに手渡した。
「…見たところかなり屈強な男だな」
「はい。私なんか軽くぶっ飛ばされました」
「ほう…」
「あっ」
ギガンテス宅に目を向けていたハクは声をあげた。
「ターゲットが出てきました」
ハクが指差した方にはアグリオスを肩に担いだギガンテスが玄関から出てくるところだった。
「よし、あとは俺の仕事だ。協力感謝する」
ルシファーは羽を広げてギガンテスの方に飛んでいった。
「(じゃあ任務に戻ろうかな……)ん?」
ハクはギガンテスの後ろから、談笑しながら出てきた人物に目を疑った。
「あれはカリン!何故あいつまで…」
ハクは考えるより先に体が動いていた。
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