最近、接客をしていて、不思議な感覚に襲われるときがあります。

「ああ、お客様一人ひとりにも人生があって、

今ここで自分と接していることも、ただの偶然ではなく、意味のあることなんだなあ」

そう思うと、お客様と接している1分1秒がとても大切なものに思えてくる。


販売員は売るのが仕事ですから、買ってくれないお客様は意味が無いのかもしれない。

でもそれ以前に、一言でも言葉を交わすなら、

いや、一瞬会釈を交わすだけでも、

人間同士が対峙して、心が触れ合う、ひとつの出会いなのです。

無意味な出会いはありません。

だから、買ってくれないお客様も、自分に何かを教えてくれる、

気づかせてくれる、大切な出会いなのかもしれない。

そう感じるようになりました。


そう思うようになったのには、ひとつの事情があります。

2店舗掛け持ちしているのですが、そのうちの一店舗が恐ろしく暇なのです。

接客しても、まったく販売に結びつかない。

いや、それどころか、丸一日、まともにお客様と話すことが無い日もあります。

まるで拷問のごとき暇さの中で、

「いったい僕がこの店に立たされている意味は何なのだろう」

と考え続ける中、ふと、このようなことを考えるようになったのです。


「このお客様との出会いにも、深い意味があるのかもしれない」

そう思って接客をしているときには、

なにか、お客様の外見や、目に見える表情を越えた

「心と心で会話している」ような感じがしてきます。

そんな中、なかなか販売に結びつかない厳しい状況の中でも、

お客様との会話が、以前より充実したものになってきたように思います。

もしかするとこの職場も、そんなことを僕に気づかせてくれるために用意された、

貴重な修行の場なのかもしれません。


これが販売の数字に結びつけばよいのですが(笑)

しかし、これは職場だけではなく、日常生活においても大事なことかもしれない。

今まで以上に、一つ一つの出会いを大切にして、

「心で接する」ことを心がけていきたいと思います。