（１０）両神山の案内犬　ポチ

両神山（りょうかみさん）は、埼玉県秩父郡小鹿野町と秩父市の境目にあって、秩父山地の北端に位置する、標高１，７２３ｍの山です。日本百名山のひとつに挙げられています。

両神山は、古くから山岳信仰の対象で、女人禁制とされる、修験行者の修行のための霊場でした。

両神山系には、両神神社、両神御嶽（りょうかみおんたけ）神社、龍頭（りゅうかみ）神社の３つの神社があって、どの神社にも、両神山の神のお使いとされる山犬（オオカミ）の像があります。

深田久弥の著書「日本百名山」には、「両神神社の前に、２頭控えているのは、狛犬ではなくオオカミである」と記されています。

三峯神社を中心とする「お犬様信仰」が知られていますが、両神山の山犬信仰はそれよりも古いものと言われています。現在でも、両神神社、龍頭神社では、山犬（オオカミ）の絵が描かれた護符の領布が行われています。

両神山の案内犬として知られているのが、小鹿野町の登山口にある民宿「両神山荘」で飼われている白い雑種のメス、「ポチ」です。

両神山荘から両神山の山頂まで、おおよそ５時間近くかかる行程を、登山者を案内して、登っていくのです。

両神山荘の経営者で、ポチの飼い主の山中龍太郎さんは、「山頂でもらえるご飯目当てかも」と言っていますが、神の使いとされる白い動物でもあるポチは、両神神社に祀られているイサナミノミコト、イザナギノミコトに仕える山犬の生まれ変わりだと思いたいのが、世の常ではないでしょうか？

日本人と犬－（１０）両神山の案内犬 ポチ