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ボディーシリーズの仕掛人

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○世界のマーケットに向けて最高のプログラムを提供する

世界60ヶ国、10,000クラブ以上に導入されているプログラムがある。
ボディパンプ、ボディコンバットなどで知られるボディシリーズだ。
同プログラムのインストラクターは世界に55,000人以上。
今、世界一多くの人が関わり、多くの人が親しんでいるプログラムといえよう。

そのプログラムの発信地はニュージーランド、オークランド。ニュージーランド国内にフィットネスクラブを10店舗展開するレスミルズグループである。
現在はプログラム開発~販売を行う部門を別会社にして、世界から英知とスキルを集めては、世界に向けて発信を続ける。
ボディシリーズは8種類。
この10月に新しいシリーズ「BODY VIVE」をリリースした。
それぞれのシリーズは2~3年がかりで考案され、その後は3ヶ月サイクルで新しい振り付け(コリオ)配信されるシステムになっている。

新しいシリーズのアイデアは同社にいる3人のクリエイティブディレクターにより案出される。
その1人がフィリップ・ミルズさん(写真)。
3ヶ月に1回、この3人のクリエイティブディレクターによってミーティングが持たれ、世界のフィットネス業界の動向やプログラムトレンドを見ながら、今後大きく成長しそうなプログラムは何かが話し合われる。
そこで話題に上がったプログラムの中から、1年に1~2プログラムについて、実際に開発をスタートさせる。

プログラムの原型は、クリエイティブディレクターが中心になり、形にしていく。
開発に必要な人材を、まず社内や市内から探してプロジェクトチームを発足し、そのプロジェクトチームで編成したプログラムをレスミルズオークランド店で提供する。
そしてメンバーの反応を見ながら、バージョンアップを重ねていく。
プログラムの人気が確かなものとなり、そのプログラムコンセプトであれば5年以内に世界で5,000クラブに導入されるという見込みが持てた時点で、プログラム名に「ボディ」という冠がつけられ、商品化される。
リリース後は、振り付けを中心に行うプログラムディレクターを世界レベルで探し出し、オークランドに招く。
その人を中心に3ヶ月に1回新しいコリオを生み出し、世界に発信していく。
これまでにも、イギリスやカナダ、オーストラリアからトップインストラクターがオークランドに移住した。
その他にもゲストコリオグラファーとして、世界中から高い指導力を持つインストラクターを招いている。

○始まりはジャザサイズ

この革新的なグループフィットネスの配給システムを構築したのもフィリップさん。
その父がレスミルズの創設者で、フィリップさんも学生時代からトレーナーとして働いた。
当時を振り返ってこう話す。

「25年間トレーナーとして働いていた頃、エクササイクルという固定式バイクがありました。
ですが、どうも退屈で成果が得られるまで頑張れる人が少なかったんです。
何か、もっと楽しくできる方法はないかと思っていました。
しばらくしてエアロビクスが出てきて、『これだ!』と思ったんです。
中間たちと楽しく行うことで、1人でできる以上の力が自然と出てきますし、それが楽しければやみつきになって自然と続けられるようになる。すぐに私もエアロビクスと並んで人気のあったジャザサイズのインストラクターになりました。
初めに生み出されたボディシリーズはジャザサイズに少し強度を加えた「ボディアタック」です。
その後、その楽しさをフリーウェイトにも応用しようと考案したのが「ボディパンプ」。さらに格闘技やサイクルのプログラムにも活用しようと、「ボディコンバット」や「RPM」などが生まれていったのです。

○チームで開発する

フィリップさんの優れたところは、プログラム開発を自分自身ですべて行うのではなく、各分野に秀でる人材を起用してプログラムを昇華させたところだろう。
初めて世界的に発表するに至ったプログラム「ボディパンプ」は、考案こそフィリップさんだが、人気を高めたのは当時レスミルズウェリントン店でトレーナーとして働いていたマイク・マクスウィーニー氏。
彼が担当し始めてから人気が格段に高まった。
そこで、彼をオークランドに呼び寄せてプログラム編成を進めることにした。
音楽にもこだわり、音楽業界で活躍していた人物に世界からエキサイティングな音楽を収集するよう依頼、その中から最もインスピレーションが得られる曲を選んでプログラミングしていった。

世界展開のきっかけは、あるオーストラリアのクラブオーナーがこのプログラムを目にし、自分のクラブに導入させて欲しいと申し出たことだった。
そのクラブからオーストラリア全土へと爆発的に広がっていったことで自信を深めたフィリップさんは、1990年世界進出を決意。
まず世界各地でプログラム発信力のある組織とエージェント(販売代理店)契約を結ぶとともに、業界に影響力のあるコンベンションに積極的に協賛しながらプログラムの露出を高めていった。
IDEAやIHRSAコンベンションでも大きな反響を得て、その後急速に世界に浸透していったのである。

○開発プロジェクトチーム

各ボディシリーズは1~2人のプログラムディレクターによって選曲と振り付けがなされ、3ヶ月に1回DVDとマニュアルに収録されて世界に配信されている。

振り付けは、曲選びから始まる。
曲は外部契約のミュージックディレクターが予め2,000曲を選び出しレスミルズに提案される。
その中からプログラムディレクターが10曲程度に絞り込み、その後、クリエィティブディレクターとともに最終的に使う曲を絞り込んでいく。
通常、そうした曲をしようするには著作権を管理する団体から利用許諾を得ることが必要になるが、曲はある程度決めた時点で、この手配をする。
大体の曲は相応の金額で利用許諾が得られるが、許諾が得られない場合は、地元のミュージシャンにその曲のカバーを作って貰うこともするという。
全ての振り付けは曲から得られるインスピレーションを基に作られることから、曲選びには徹底的にこだわっている。

新しいコリオも、まずレスミルズオークランドで提供される。
メンバーとクリエイティブディレクターのフィードバックを得ながら改善を重ね、完成度が高められたところでDVDの撮影が行われる。
撮影は地元のテレビ局クルーがクラブに来て行う。プログラムコンセプトを確実に伝えるべく撮影のクオリティにもこだわっている。
「すべてにおいて最高のレベルを追求します。プログラムディレクターはIDEAやフィットプロ(カナダの世界最大のコンベンション)で活躍する人や、各国のエージェントからの情報をもとに、世界レベルで探します。sのディレクターたちも本気で取り組んでくれています。いつも新しいコリオが完成するたびに『今回が今までで一番すごい出来だ!』と言っていますよ。最高の人たちが最高の仕事ができる環境を整えるのが私の役目だと思っています」


○ボディシリーズを2010年までに世界15,000クラブに

レスミルズでは、今後も年1~2本のペースで新しいボディシリーズをリリースしていくことを計画している。
この10月にリリースしたばかりに「ボディ・バイブ(BODY VIVE)」は50歳代以上の、あまり運動になじみのない方に楽しんでいただけるようにつくったプログラム。
その年代の方が親しみが持てる曲を使い、小さいボールとストレッチバンドのエクササイズを組み合わせたものである。
「VIVE」には「Vitality」をはじめ、「生命力」や「元気」といった意味が込められている。
その他、今開発中のプログラムには、バレエや、子どものクラスなどがあり、市場の動向を見ながらリリースされる日に向けて磨きがかけられている。

「グループエクササイズの開発は世界中で多くの方が取り組んでいて、クラブの1週間のスタジオスケジュールはほぼ埋め尽くされている状況です。その中で世界の市場を相手に新しくプログラムをリリースするというのは、かなり難易度が高いことだと認識しています。だからこそ妥協なく高いレベルを備えたプログラムを、確かな市場があるところに投入していく。これからも十分に時間とお金とエネルギーをかけて、最高のプログラムをつくっていきたいと思います。

Fitness Business NEXT vol.5
■特集
注目プログラムの仕掛人

■Chapter1
ボディーシリーズの仕掛人
レスミルズ・インターナショナル
フィリップ・ミルズさん

より
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