ジブリ映画「紅の豚」の挿入歌でお馴染の、
“さくらんぼの実る頃”
今回は、この名曲の和訳です。
ところどころ直訳では意味が分からない部分があるので、
歌の世界観を掴んで頂くためにも、意訳を施しております。
(「この部分の直訳が知りたい」という方はご遠慮なくコメントで聞いてください!)
「紅の豚」では、この歌を女性が歌っていたので、
女性目線の歌だと思われがちですが、そうではありません。
現に、作詞家はかの有名な ジャン=バティスト・クレモンです。
(駅の名前にもなっていまして、初恋の女の子がここに住んでいました..笑)
また、この歌はフランス人にとって、ただの“儚いラブソング”ではなく、
一般市民の大量虐殺が行われた「血の週間」の悲痛な思い出と深く結びついている歌でもあるんです。
カン ヌ ショントゥロン ル タン デ スリーズ
Quand nous chanterons le temps des cerises,
我々がさくらんぼの実る季節を迎えるころには
エ ゲ ロッシニョール エ メルル モキュール
Et gai rossignol, et merle moqueur
サヨナキドリも、マネツグミも[*1]
スロン トゥス オン フェットゥ
Seront tous en fête !
皆が浮かれていることだろう!
レ ベル ゾロン ラ フォリ オン テットゥ
Les belles auront la folie en tête
美女たちは、羽目を外し
エ レ ザムルゥ ドュ ソレイユ オ キュール
Et les amoureux du soleil au cœur !
恋人たちの心は、太陽で満たされるだろう!
カン ヌ ショントゥロン ル タン デ スリーズ
Quand nous chanterons le temps des cerises
我々がさくらんぼの実る季節を迎えるころには
シフルラ ビアン ミュー ル メルル モキュール
Sifflera bien mieux le merle moqueur !
マネツグミはさらに上手く、さえずることだろう!
メ ズィレ ビアン クール ル タン デ スリーズ
Mais il est bien court, le temps des cerises
けれども、さくらんぼの実る季節はなにせ短い
ウ ロンソンヴァ ドゥ キュイル オン レヴォン、 デ ポンダン ドレイユ
Où l'on s'en va deux cueillir en rêvant des pendants d'oreilles...
この頃に、ふたりは、夢の中で耳飾りを積みに出かける…
スリーズ ダムール オ ロブ パレイユ
Cerises d'amour aux robes pareilles,
おそろいのドレスを着た、恋のさくらんぼが
トンバン ス ラ フォイユ オン グットゥ ドゥ サン
Tombant sous la feuille en gouttes de sang...
血の滴のように、葉の上に落ちている…
メ ズィレ ビアン クール ル タン デ スリーズ
Mais il est bien court, le temps des cerises,
けれども、さくらんぼの実る季節はなにせ短い
パンダン ドゥ コライユ コン キュイユ オン レヴォン
Pendants de corail qu'on cueille en rêvant !
夢の中で、“サンゴ色”[*2]を摘むこの季節は!
カン ヴゾンスレ オ タン デ スリーズ
Quand vous en serez au temps des cerises,
あなた方が、さくらんぼの実る季節を迎えた時
スィ ヴ アヴェ プール デ シャグラン ダムール
Si vous avez peur des chagrins d'amour,
もし恋の悩みに恐れているのであれば、
エヴィテ レ ベル
Evitez les belles !
美女には近づかないことだ!
モァ キ ヌ クラン パ レ ペヌ クリュエル
Moi qui ne crains pas les peines cruelles
残酷な悲しみにも臆しない私は
ジュ ヌ ヴィヴレ パ サン スフリル アン ジュール
Je ne vivrai pas sans souffrir un jour...
一日たりとも苦しまずに生きることはないだろう…
カン ヴゾンスレ オ タン デ スリーズ
Quand vous en serez au temps des cerises
あなた方が、さくらんぼの実る季節を迎えた時
ヴ ゾレ オスィ デ シャグラン ダムール
Vous aurez aussi des chagrins d'amour !
恋の悩みは、あなた方にもやってくるだろう
ジェムレ トゥジュール ル タン デ スリーズ
J'aimerai toujours le temps des cerises,
私は、さくらんぼの実る季節を愛し続ける
セ ドゥス タンラ キュ ジュ ギャルドゥ オ キョール
C'est de ce temps-là que je garde au cœur
この時から、ずっと心にしまっているんだ
ユヌ プレ ウヴェルトゥ
Une plaie ouverte !
開いたままの傷をね!
エ ダム フォルチュヌ オン メタン オフェルトゥ
Et dame Fortune, en m'étant offerte
運命の女神が、私に与えられたとしても
ヌ ソレ ジャメ キャルメ マ ドゥロール
Ne saurait jamais calmer ma douleur...
私のこの傷は到底、癒されないことだろう
ジェムレ トゥジュール ル タン デ スリーズ
J'aimerai toujours le temps des cerises
私は、さくらんぼの実る季節を愛し続ける
エ ル スヴニール キュ ジュ ギャルドゥ オ キョール
Et le souvenir que je garde au coeur !
そして、心にしまい込んでいるあの思い出も!
*1 “rossignol”は“サヨナキドリ”・“merle”は“マネツグミ”ですが、知らない方の方が多
いかと思います。
フランス語で“Chanter comme un rossignol”(シャンテ コム アン ロッシニュール)
[直訳:サヨナキドリのように歌う]と言うと、“きれいな声で歌う”という意味になるくらい、鳴き声がとてもきれいな鳥で、「西洋のウグイス」とも呼ばれます。
一方で、“ぺちゃくちゃ喋る”事を“siffler comme un merle”(スィフレ コム アン メルル)[直訳:マネツグミのように鳴く]と言うように、マネツグミは良く鳴く鳥です。それがこの歌では、陽気な・ご機嫌な情景を思い起こさせる要素になっています。
なお、“merle moqueur”の“moqueur”とは直訳すると“嘲笑家”で、落ち着きの無い鳴き声のマネツグミがまるで人間を急かしているように聞こえるため、“merle”で十分なところを“merle moqueur”と表現しています。
*2 “corail”は、直訳すると“珊瑚”です。
ですが、例えば“levre de corail”(レーヴル ドゥ コライユ)[直訳:珊瑚の唇]と言うと“真っ赤な唇”という意味になります。ですので、この歌の中では、“corail”は「さくらんぼの“赤色”」を表しています。何とも文学的で、美しい表現ですよね。
