「それで結局は、あの獏(ばく)と云ふ獣のやうに、阿片を吸つて夢を喰(くら)つて、荒唐無稽な妄想の雲に囲繞(いにょう)されつゝ、終日(ひもすがら)ぼんやりと、手足を伸ばして居るより外はなかつたのです。」
(谷崎潤一郎 「人魚の嘆き」 より)

 


 

「そして、獏は窓から出て行った。わたくしは、そのあとを見送った。――獏は、月の照り渡った屋根の上を、ちょうど大きな猫のように、棟から棟へと、音も立てずにしずかにとびうつりながら、飛んで行った。」

(小泉八雲 「夢を食うもの」 より)