ずっと独身だった従兄弟に婚約者が出来たらしい。親族のうちで独身は、従兄弟2人と私の3人だったが、そのうちの年長の従兄弟がとうとう結婚相手を見つけたのだ。
私たち一族には私が幼い頃に大きな事件があった。本当に痛ましい癒えることのない事件で、私は幼かったにも関わらず葬儀の一部を克明に覚えている。
その一族の中で当時一番幼かったのが私で、その次に幼かったのが現在未婚の従兄弟2人だ。私たち3人はその事件に相対するにはあまりにも幼かった。
そして従兄弟2人はその事件に対して私よりもより近いところにいた。
この事件後、私と従兄弟たちの関係は変わった。ほとんど顔を合わせなくなった。大人達の関係が悪くなって交流の機会が減ったのもある。でも何より従兄弟たちの傷が深かったためだろうと、大人になって思う。
あの当時、一番幼かった私たち3人だけが未だに家庭を持っていないのは偶然だろうかと思うことがよくある。
私にとって確実に深いトラウマとなっているあの事件、より近いところにいた従兄弟2人はもっとだろうと思う。
私は自分が婚約をしたとき、事件の記憶がフラッシュバックのように何度も襲って来た。家庭を持つことが怖いんだ、家庭は人を不幸にしそうで怖いんだと何度も何度も婚約者に訴えた。結局その苦しみを理解してもらうことは出来ず婚約破談になってしまったが、私は勝手にこの恐怖を従兄弟2人も持ち合わせているんじゃないかと思っている。
だから彼らが独身でいることに共感し、それでも従兄弟たちには幸せになって欲しいとずっと願っていた(願っている)。
その従兄弟にとうとう婚約者が出来たなんて、喜びしかない。親族のうちのマイノリティが減ることへの恐怖なんて微塵もない。あの事件に関わる同志(と勝手に思い込んでるだけだが)にパートナーが出来た。本当に嬉しい。この喜びの連鎖が世界中に続きますように(喜びのかたちは結婚じゃなくても、何でもいいけど!)。
