自分が異動した自治体は、「自由進度学習」にもろ手を挙げて賛成ということらしく、全国の先進校に追いつくべく教育委員会からも強力な指導が、管理職を通して勤務校に入って来ている状態です。

 

 「主体的な学習者」を育てるというのが「自由進度学習」の肝ではありますが、現場の「教員の主体的な選択」は無視してこの授業形態に「変えなさい」と強烈な指導が入る毎日です。

 

 自分は今まで、「自由進度学習」にはそれほど魅力を感じず、むしろ「一斉授業の工夫や進歩」の中に「公教育の意味」が隠されていると感じて、実践してきたタイプなので、正直、今は面食らっています。

 

 今まで数々出会ってきた子供たち。

 思い浮かぶあの子にも、この子にも・・・どうもマッチするとは思えません。

 

 しかし、毎日、強烈な圧力をかけられ続けますので、黙っている訳にもいきません。

 

 改めて自由進度学習関係の本を読みまくり、関連する動画などを見まくり、推進している学校を何度も視察に行き・・・。

 やってみなければ始まらないし、反対も賛成もないだろうとは思い、そこから始めてはいます。

 

 ただ・・・

 自由進度学習のことを知れば知るほど、実際の実践校を見ればみるほど、心の中の「違和感」「疑念」「問題意識」が日に日に強くなってきている自分が居ます。

 強い「危うさ」を感じずには居られません。

 

 そもそも自由進度学習という考え方自体は、昔から・・・大正時代には既にありました。

 ただこれまで広がりはしませんでした。

 

 一つには個人差に対応できるICT機器のようなものがなかったからだと、自由進度学習を推進する方々はおっしゃるのですが、世の中に広がって来なかったのは、「ICTが無かったから」ではないと、まず直感的に感じる自分が居ます。

 

 いや、考え方はとっくに広がっては来ました。

 

 例えば、「塾」などはまさに「自由進度学習」をブラッシュアップした確かな学習の形だと思います。

 まさに「個別最適化」された究極の学習形態だと言えます。

 現在ある数々の学習塾の緻密さや指導力は本当に素晴らしいと思います。

 

 学校は廃止します。全国の学校を塾に変えます。と、国が言うのなら、よほどすっきりとします。

 しかし、そういう話でもありません。

 

 自由進度学習が、公立の学校でなぜこれまで広まらなかったのか。

 そこには理由があるのです。