「あっという間は二度と戻らない」
確かに弱ってはいたけれどこの夏を越えて
冬を迎える事が出来ると思ってた。
まだまだそんな日が来るとは思わなかった・・・。
私たちは愛し合ってた。
孤独な日々も支え合った。
まだ別れた息子に会えない時に彼は私のもとに来て
いつでもそばにいて私を見つめてくれていた。
食が細くなっていたけれど
今朝、大好きなおやつを久しぶりに少しあげたら
2個食べて息子に抱っこされたまま
瞬きもせずに私を見てた。
なぜか、今日の午後、一度家に帰った。
それほど弱ってるとは思ってなかったけれど
さようならの時はすぐそこに来てた。

今、大好きだったお布団にくるまれて
明日の朝のお別れを彼は待っている。

残されたレイちゃんはポチくんのそばから離れようとしない。

あっ・・・という間。
なんでもどんな状況でも「時」は戻らない。
取り返せない、やり直せない。
ポチくんは色んなことを一瞬で教えてくれた。

幼いころ、田舎の私の生れた土地では
今では考えられないくらい自由で犬もつながずに買っていた。
小さな私の一番古い思い出の中にいるワンコの名前もポチ。

何代目かのポチくん。

泣いて泣いて泣いてる。

息子が
「どどっと色んなことあるけどお母さん、死なないでね」
小さい時から体が弱くてメンタルが弱くて
何度も何度も死にかけた私を見てた息子は心底そう思ったらしい。
死にはしないけど、死にそうだ、心が。

たかがペットロス、とは言えないくらいの辛さ。
失った命はかけがえがない。
死にはしないけれど打ちひしがれている。

レイちゃんも大人しく神妙な顔をしている。