以前ある特別養護老人ホームの
附属診療所の所長をされている
お医者様のお話を伺う機会がありました。
~「今」を輝いて生きるために「死」を視野に~
という題でした。
ある式典の中の記念講演で私は
司会をさせて頂いていたのですが
とても興味深く聞かせて頂きました。
「往きの人生」と「還りの人生」
ということをおっしゃいました。
自然界は繁殖を終えると
寿命が来るものがほとんどですが、
人間はその後、
還りの人世を送ることになります。
人間として果たす大切な役割は二つ
1 色々な不具合と
上手に折り合いをつけて生きる「老いの姿」を見せること
2 出来るだけ自然に死んでみせること・・・
「死にゆく姿」を見せるのは 最高の“遺産”
病気や怪我は医者や薬が治してくれると思っている。
そして、どんな状態でも病院へ行きさえすれば
何とかなると思っている。それは大きな間違い。
本人の自然治癒力が病気や怪我を治す主役。
医療者はあくまでもお助けマン。
薬はお助け物質。
器機はお助けマシーン。
治してくれる専門医はいない。
特効薬もない。
医療と介護が穏やかな死の邪魔をする。
自然死が少なくなった今、
医師でさえ自然死を知らない。
自然死はいわゆる餓死。
飢餓状態は脳内モルヒネを分泌し、
脱水状態は意識レベルが低下する。
酸欠状態も脳内モルヒネを分泌する、
そして炭酸ガスの貯留は麻酔作用がある。
心地よいまどろみの中で
この世からあの世へ移行する。
強制人工栄養、点滴注射、
酸素吸入は邪魔になることがある。
出来るだけ手を尽くすは、
出来るだけ苦しめると同義である
と説明してくださいました。
人は生きてきたように死ぬ。
看取る側、看取られる(看取らせる)側の心構え
① 自分で出来ることは
甘えずに精一杯行う。
② 「孤独死」を怖がらない…
死に方としては理想的。
③ 死に際は容態が急変するもの見守る覚悟。
④ 臨終の場面に医者が立ち会う必要がない。
(24時間ルールの誤解)
余命〇か月と言われたらどう生きるでしょう?
3度の入院、2度の手術をした私は
直面して考えたこともありましたが
過ぎ去ると忘れてしまうのかもしれませんが
たくさんの方々をお送りし
義父と父そして義母を見送った今は尚更
目の前に迫るような気がします。
後悔のないように思いを伝えていこう。
後悔のないように
今、出来ることをしていこう。
大切なものを大切にしていこう。
残されたときに何をしよう。
命を何に使おう。
どんな体験を楽しもう。
ワクワクすることもたくさんありそうです