東京の学校で。


私は数年前、通信教育でフットケアの勉強をしていた。
教材はDVDとテキスト、実際に靴の中に入れて調整する中敷きやテーピングなどだ。

通信教育ではあるが、一度だけは東京にある本部の学校で講習を受けなくては修了書がもらえない。


夜行バスで東京へ行き、渋谷にある学校で講習を受けた。

DVDに映っていた学校の校長は撮影当時は若かったのだろう。
DVDでは黒髪で、情熱的に講座を進めていたのだ。

だが実際に講習を受けた時、彼は白髪でなんだか弱々しく見えた。
彼は咳き込んでいたので、もしかしたら体調が良くなかったのかもしれないが

私はDVDと実物のギャップに驚き、ジワジワと込み上げてくる笑いをこらえつつ
(体調が良くなかったとしたら、私は大変失礼である。)
しかも交通手段が夜行バスだったため寝不足で、ペンを持ったままいつの間にか寝ていた。

気づいたら、いつ私は霊媒師になったのだ!?と思うような、寝ている間に見えない世界のチャネリングをしたのか?
自分ですら解読できない、ミミズの這ったような文字が延々と書かれていた。


そのため、講習の内容は全く記憶にない。
ノートを見て思い出そうにも、何が書いてあるかわからないノートでは意味がない。覚えているのはその後の、1人で浅草へ観光した思い出だけだ。


しばらく私自身がフットケアの世界から離れていたため、その学校とも離れていた。

久しぶりにインターネットで検索してみたら、彼は今もお元気そうだった。
その学校は、種類によっては受講料が高いのだが、事務員の方も親切でとにかく私に優しくしてくれた。

今後もその学校が、ますます発展して頂けたら嬉しいなと密かに思っている。