ASAYANオーディション。


私は物心ついた時から歌が好きだった。
小学生では、歌手や小説家になることを夢見て、中学生では女優という夢も新たに加わった。

友人と中学生日記のオーディションを受け合格し、友人は主役、私は3回ほどセリフ付きの脇役として出演したことがある。

確か高校生まで出演依頼があったと思うが私は3回出演した後に中学生日記をやめた。

高校生の時には、ASAYANオーディションというのがテレビで放送しており、数々のスターがその番組から誕生していった。
私は当時オリコンチャートを賑わせていた小室ファミリーの一員になりたく、友人に頼んでオーディション用のVTRを撮影してもらった。


自分でもビデオカメラを設置して撮影したが、何度取り直しても納得がいかないのだ。

一回目は、近所の河川敷で恥ずかしさをこらえながら、犬の散歩やランニングしている人々が通り過ぎる中を大声で歌っていた。
プロモーションビデオのように撮影したかったのだ。
帰ってから再生してみると車の行き交う音が強すぎて、歌が聞こえるどころか、遠くで人々が歩いている映像で終わった。

そしてカラオケ店や自宅で2度撮り直すが、太った長髪の江口洋介がブルブル踊って歌っているような映像となった。

何かを夢見て目指していても、どこか冷静な自分がいて。
「あー。このこ、無いね。」と自分で自分を分析しすべてのオーディション用VTRはお蔵入りとなった。


中学生日記も、2回目あたりの出演からは太った長髪の江口洋介のような姿で映っていた。
改めて自分の姿を見て愕然としたものである。その録画したビデオは、もう今はないので幻の映像だ。


結局、私の出した結論は、「女優には向いてない。歌手にならなくても歌はどこでも歌える。」。

中学生日記に出演して興味を持ったのは、脚本作りである。
やはり、文章が好きなんだなぁと実感した。その後は映画研究部に入り脚本を作ったり、小説を書くことに没頭した。
誰に頼まれたわけでも、どこかのオーディションに応募するわけでもないのに、ただ書くことが楽しくて徹夜でストーリーの起承転結をまとめてからワープロで完成させていた。

ワープロは楽しかった。
ある程度の起承転結しか決めていないが、ワープロを打ち始めると、勝手にストーリーが生まれてくるのだ。


ASAYANオーディションから話が脱線してしまったが、とにかく私はコムロファミリーになりたくて仕方なかった。

今でも華原朋美、globeなどの歌を聴くと当時を懐かしく思い出す。