いたずら電話。
高校生の時だ。
友人から早朝に電話があり
寝起きの声で電話に出ると、その友人は慌てて電話を切り、また数分も経たずに電話をしてきた。
「あ~ビックリした!!男の人が出たから慌てて切っちゃった!」
と言ってきた。
「……それ、わたし。」
「あ…そうだったの!?ごめん!!」
少し気まずい早朝の電話となった。
当時は、携帯電話の時代になりつつある頃だが、それでもまだポケベルが主流だった。
家の電話や公衆電話を活用していたものだ。
家の電話にはよく、いたずら電話がかかってきていた。
あまりにも回数がひどく、警察に通報しますよと忠告しようが全く効果はなく、どうしたものかと悩んでいた時に、電話で友人に男の声と間違えられたことを思い出し、ちょっと活用してみることにした。
トゥルルルトゥルルル~♬と
電話のコールが鳴る。
最初は普通の声で出る。
何かいやらしいことを、見知らぬ男が電話越しで話している。
ヨシヨシ。
と、そのまま泳がし途中で電話を切る。
するとまた
トゥルルル~トゥルルル♬と
まるで電話がスキップしているかのようにコールが鳴る。
ヨシヨシ。
きたな。
ガチャ。
私はもう、私ではない。
受話器を取った私は、任侠映画の怖いお兄さんになっていた。
「あい!!ボシボシ!!」
文章では表現できないが、任侠映画の怖いお兄さんが電話に出たとイメージして頂きたい。
自分でもビックリするぐらい
野太く乱暴な声が出た。
いたずら電話の主は
私だと気づかなかったようで
まんまと騙され
ガチャグチャゴチャ!!
と、慌てて受話器を置いて電話を切っていたようだ。
ははは。
ざまぁみやがれ!
それ以来、いたずら電話は二度とかかってこなくなったのだった。
めでたしめでたし。