ダサい靴下。
幾年か前、元ホストだった男性と
ほんの一瞬だけ交際していた。
デートをする予定などなかったある日
なぜだか突然会うことになった。
夕飯を食べよう。
と、私がいる場所までわざわざ駆けつけてくれたのは嬉しかったが
何の準備もしていない。
勝負パンツすら履いていない。
しかしそれよりも最悪なのは
ヨン様がプリントされた靴下を履いていたのだ。
ヨン様が悪いわけでも
ヨン様がダサいわけでもなく
ヨン様の顔がデカデカとプリントされた靴下を、デートの時にタイミング悪く履いている自分のダサさに
これはどうしたもんかと肝を冷やした。
食事はふぐ料理の店。
ふぐなんて、父親の釣りに付き添って行った時に、釣竿に間違ってかかる小さなふぐしか私は馴染みがない。☜このフグは、売店でキーホルダーになってよく吊るされているお馴染みのアレです。
生まれて初めてのオサレな料理店で
しかも掘りごたつのため
靴を脱がなくてはならず
泣く泣くヨン様がお披露目された。
元ホストだったわけだから
やはり彼はオサレだ。
ブランド品なんてサラッと身につけて
彼女をふぐ料理屋に連れてくるんだから。
一方の私はどうだ。
3枚千円の
韓流スターがプリントされた靴下を履いているではないか!!
掘りごたつの中で
足をモゾモゾ。
恥ずかしすぎて
ふぐの味なんてわかりっこない。
私は釣りに来た親子に
うっかり釣られてしまったチビふぐのようだ。
彼は気づいていなかったと思うが
気づいていなかったと信じたい。
あれは非常に恥ずかしかった。
別れた理由は
全くこの件とは関係がない。
はかなく終わった恋ではあったが
珍エピソードが残っていて良かった。