「秘策があるからね」
この言葉に若干の不安を感じながらも浩二の成功を祈っていた。




昼の一件が終わってから、オレは学校にむかった。
と、いっても既に17時を回っていて、部活に出席しただけなんだけどね。

オレのいっている学校はそこそこ強いサッカー部があって、オレもそこに在籍していた。
部室にはいるとほとんどのメンバーが準備を始めていた。
ちなみに浩二は違う学校。


ここは一応、レギュラー組専用の部室で、常に熱いサッカー談義が繰り広げられる。
そして今日もレギュラー組の部室ではサッカーの話一色。。。
なわけない。
思春期の男が20人、当然話題の多くは女の話。


そんないつもの情景のなかで、皆に混じり着替えをはじめていると信じられない名前を耳にした。


前いってた、『かとう あおい』っているじゃん




(°Д°;≡°Д°;)

誰だ!誰だ! 

なぜ、葵の名前がここで?



部員B 「うん、どうした?ついに告った?」




(°Д°;≡°Д°;)

えっ、告った?ってなんだよ。
さらに驚いて振り向くと、


そうなんだよねぇ
でもさ、見事に玉砕しちまった。




オレを驚かしている名前を口にしているのは、中学の頃にオレや葵と一緒たっだ『啓太』だった。
啓太ははっきりいってもてる。
背も高いし、さっぱり性格は女受けがともていい。
さらにこれが一番悔しいのだが、『いいヤツ』なのだ。男女問わず誰にでも

オレからしてみても本当にいいヤツで、失いたくない親友の一人だ。

そんな啓太から、葵?告った?玉砕?という言葉が出てくるものだから

なんだ、なんだ。
と、軽くパニック状態に陥っていると



ゆたか


ビク(ビビッてばかりだな
なぜかオレを呼んできた。
このときのオレは啓太がオレを呼んできただけなのに、もう心臓がバクバク!
でも、別に後ろめたいことがあるわけでもないので、できる限りの平静を装って、


あ?


興味なしといった感じで、少し無愛想に答えた。


加藤 葵って覚えてる?



う、う、うん。Σ(~∀~||;)
覚えてるよ。今日たまたま会ったよ。


あーーなぜオレは余計なことを!((((((ノ゚⊿゚)ノ



そうなんだ!
あいつさ、マジでかわいくなってたよな。



やっぱり今の葵をみれば誰もがそう思うよな。


でな、オレも先月くらいに偶然見かけてさ。
最近結構連絡取り合ってたんだよ
で、一昨日に告って、見事に玉砕したんだけどね


えっ、そううなの?マジで!?



本当にビックリした。
だって、さっき会ったときはそんな話全然してなかったし、、、まぁ当然かもだけど
オレはそれ以上の言葉を発することもできないまま、着替えを続けていた。
啓太は



うん。
まぁ、いきなり言ったから無理もないかもだけどね。
・・・お前の話をしてる最中に言ったからな



と、明るくそのときの状況を教えてくれた。
・・・って

σ( ̄◇ ̄;)オ、オレ?



オレの話?
ってなに?


啓太の『恋して振られちゃった話』よりも自分のことが気になってしまった。

そりゃ、友達が失恋の傷を負ったのならば、何よりも彼の話を聞くべきだろう。

第一、オレは何か悪いことしたわけでもないし。
というのは解っていたが、朝といい今といい唐突に自分の名前が出てくると驚くものだ。
理由は別としても、啓太もあわてたオレの心境を察したのか、


あー
別に悪口言ってたわけじゃないよ。
なんとなく中学時代の事しゃべってたら、葵がゆたかの名前を出したんだよ。
でもさ、ふと『告るぞ!』って覚悟ができちゃって、なに言ってたかあまり覚えてなくてさ。
で、そのまま玉砕したの♪


啓太はかなりのモテ男で、恋愛もオープン。
実際、部室で啓太の恋愛事情を聞いたのも初めてではない。
そのせいか、妙に明るくオレの疑問に答えてくれた。


そっか、オレのことは別にいいけどね
そっか、、、そんなことがあったんだ。



それにしても中学の同級生に告るって、オレ的にはなかなかできないと思っていた。
率直にそれができる啓太に対して、続けざまに声が出てしまった



でも、すごいな


なにが?


同級生に告るってさ。。。


ん?そうか?


別に普通だろ。くらいの普通の受け答え。
まぁ今思えば確かふつうだ。
きっと啓太は当時のオレより少し大人だったのかな。




さっきから聞いてれば、アホ啓太はもてるからそんなことがいえるんだ!


突如としてオレの背後から肩に手を置きながら、大きめの声で現れた。


うわ、何だよ!いきなり背後から来るなよ!


同じく部室にいた友人だ
それを機に、これまでの話を聞いていたほかの連中も同じ事を思っていたのか、


そうだ!

見事なまでに賛同して乗ってくる。


オレなんで、片思い専門だ!
そうだ!
童貞は一度捨てたら戻らないんだぞ!僕は守る!
そうか!?
女紹介しろ!
そうだ!


と、まぁ関係あることから関係ないことまで、好き勝手に啓太に向かってほえた。
これもいつものこと。
啓太も慣れた様子で


はいはい。 
ったく、ドイツもこいつもうるさいっての
今度、合コンセッティングしてやるよ。


よっしゃ~
いつ?来週?
わーい


と、エサぶらさげた途端にこれだ
まぁ、今までの実績が裏打ちされる啓太の合コンだからね。
アホ呼ばわりされていた啓太は合コンという武器で英雄に祭り上げられて、練習場へ向かっていった。



しかし、これってこれから浩二がたどろうとしている道に似ているのかな。
偶然の再会、一目ぼれ、きっと告白するだろう。共通の登場人物にオレがいるってのはイヤだが。
でも、うまくいってほしいと本気でねがっていた。




このときは、親友2人が同じ人を好きになり、同じ日に別れと再会をしたことに驚いていた。

そして、この親友2人の幸せを本当に願っていたんだ。



しかしこれから数日後、オレにとって何を壊して何をとるのか選ばなくてはいけいくななんて・・・

このときは微塵も感じていなかった。









※男だらけだなぁ
 次以降からは葵を出すことができるから一安心っと♪