違和感を覚えたのは2017年の年末頃だった。
右鎖骨辺りに直径2cmはありそうな球体の様なものが出来ているのは気付いていた。押しても痛みはない。帰省していたこともあり親に尋ねるも「自分も若い頃あった」といわれそんなもんかと思った。病院には行かなくても良いだろうと言われ、何より節目のイベントが控えていた為親は其方に頭がいっぱいだったのだろう。話は終わった。
(後に親に病院に連れて行かなくてごめんと謝られた。別に親は悪くない。だがまあ謝りたい心理というのは流石に察した。)
2月に入り春休みとなったがバイトをしたかった為帰省せずずっと働いていた。そのうち球体の数が増えたような気がして看護を学ぶ友人に尋ねると当然受診を進められたが面倒くさがって行かなかった。中旬に遠方の友人が旅行に付いて来てくれる事に浮かれていたのもあり、兎に角お金を稼ぎたかったのもある。
かくて病院に行くのは旅行の後と決め、寝て起きて趣味に没頭しバイトに行きという生活を送っていた。が、流石に体にあからさまな違和感が起こった。球体が首にまで達していたのである。位置は丁度Yシャツの襟で隠れる場所だったのでバイト先の人に気付かれることもなかった。触るとボコりと膨らんでいるのがよく分かったが、やはり押しても痛みは無かった。ただ首が回しずらく、酷く肩が凝っているような、突っ張られている感覚がするようになった。此処で観念すればよいものを、湿布を張ってごまかした。資源の無駄である。
(初めの計画に固執して敗北する悪の組織とやってる事が同じである。)
23日、旅行も終わり、バイトも入れていない日だった為漸く病院へと向かう事にした。まったく重い腰である。ただ、何科に掛かれば良いのかが解らなかったので、取り敢えず体内の事だし内科でいいかという安易な発想のもと近所の個人病院に向かった。時期が時期なので風邪とインフルエンザの方達が沢山居り、自分は緊急性がないためゆるりと待った。2時間半は待った。その間本を読んでいた為診察を受ける頃には肩がとんでもなく痛かった事を覚えている。
診察で球形のモノがある事を説明し、あとは只管触診された。鎖骨、首は当然の事ながら足の付け根や関節も押されたり揉まれたりした。鎖骨と首の球体は定規でサイズを測られた。首で大きなものは直径3㎝はあると言われた。後は血を採られ、検査結果が来週に届くから電話すると伝えられた。
そしてもう一つ、宿題を渡された。紹介状を書くのでCTを撮って来いというものだ。
(今までの人生でレントゲンぐらいしか撮ったことが無かったのでCTを撮るのにwktkしかのは内緒。)
26日、紹介された病院が遠くて冬なのに汗まみれになりながら病院に向かった。個人病院が自転車で15分くらいに対し、紹介された病院は30分くらいかかった。そう、学生なので移動手段はもっぱら自転車である。バスも電車も、本数も少なけりゃ接続も悪い。いやそんなことはどうでもいい。兎に角その病院でCTと胸部X線を撮り終えた。CD-Rに画像をおとしたものを受け取り、会計を済ませて帰ったのだが、この病院後々とんでもなく困るうっかりをやらかしてくれちゃっていた。それもまた発覚した日に書く。
(CT撮るのは撮ってる間時間長いし、息を止めなきゃいけないしで何も楽しくなかった。)
27日、夕方に血液検査の結果が届いたから来院をという電話を受け、翌28日、個人病院を再び訪ねた。前回とは違い1時間程度で通された。そこで先生に血液検査の結果を教えてもらい、白血球数が異常値である事を伝えられた。そしてこれ以上は此処では調べられないため、大きな病院で検査を受けなければいけない事も言われた。
「組織を採るから、多分、2日くらい入院する手術だね。」
「今生活してる地と、実家のある方、どっちで受ける?」
そういわれて、能天気に構えてた自分があからさまに焦った感覚がしたのは覚えてる。親に相談してから決めても良いですかって言った。現実逃避を先生は優しく笑って良いよと言ってくれた。決まったら受付の方に伝えてくれと言われて、自分は取りあえず礼を言って診察室を出た。今思い出しても全く心の籠ってない形だけの礼で失礼極まりない。
取り敢えず建物の外へと出て親へ電話を掛け事情を説明した。説明する自分の声は情けなく震えていた。二人とも出来れば実家の方でという事になったので、決まった旨を受け付けの方に伝えると、また診察室に通された。
親に話してかなり落ち着いては居たけど、まだ青い顔をしてたのか先生はゆっくりと紹介先の先生の話をしてくれた。
紹介先の病院の来院日時が上手くかみ合わず受付の方を困らせてしまったけれど、それでも最後に受付の人が封筒渡して「お大事に。」って微笑んでくれた時に費用どないしようとか、親に迷惑掛けるとかそういう事考えてたのが全部ポンっと静まって、自分病人なんやなって1番自覚できた思ってる。
(治療を続ける現在、この病院にお世話になる様な事は起こってないので改めてお礼を言いたいと思いつつ次行くんはまた病気したときなんやろうな。)