昨年暮れから その女の子は、
悩んでいた…。
ピアノをもう、やめてしまおうか。
どうしようか。


お母様は、特に やめる理由が
わからないし、続けさせたいから
冬休み、話しあってみます
お時間くださいと
仰った。

私は ずっと考えていた。




何が嫌だったのかな。

今の時点で、やめてしまったら
なんにもならないで、終わってしまう。
ピアノやってたけど、
だから何だったの?で終わる。


何かひとつ、きちんと教材を
終わらせたかったな。
みんな やりはじめても
いつのまにか 中途半端で
終わっていた…。
私にも責任がある。

わからなくなってから
大分戻ってやり直した
生徒の話も受け止めて
くれたかな、ダメだったかな。


そうこうしているうちに
年始めのレッスン。


元気にいつも通りにやってきた。

お母様からは、続けるという
結果になりました、と連絡を
受けていた、けど…。
どうなのかな?



話をするのは、少しあとにして
暫くレッスンしながら様子を見る。


それで、「ピアノ、どうする?」


そうしたら、こんなことを
はっきり、明るく。

「やっぱり、一からやり直す
ことにする!!」


一からやり直す、予想だに
しなかった言葉に胸が
熱くなり、もやもやしていたものが
台風の後の空のように
吹っ飛んだ!


なかなか言えない言葉だと思う。


うまくいかなくなった、
何だか上達しない
練習もあまりしたくない
レッスンも楽しくない


だから、やめる、という
答えは楽だけれど  
そちらは選ばず
やり直すことを自分で決めて
宣言できた、それだけでも立派。



冬休みにお母様からも
沢山の働きかけがあった
ことでしょう。


その女の子は、地道に
再出発し始めている。

できなかったことが
少しずつ、出来るようになって
顔つきや態度も、随分
変化している。


やっぱり、一からやり直すと
決心してよかったと
その女の子が思える日まで
私は、ずっと伴走していきたい。

今度こそ。


と、思う一月でした。


もう暫くしたら
なぜ、そう思ったのか
聞いてみようかな。


長く続けてこそのピアノ。

その中には 何回か選択する
時がある。

そのときに、指導者や
保護者の方がどう関わるかで
その子の音楽人生も
変わっていくと思います。