始まる前にゴタゴタがあった女子のシングル。
選手が平常心で試合に臨めるか、あと、私も一体、どういう心持ちで試合を見たらいいのか分からなかった。
そんな中でも、自分の演技をすることに集中して銅メダルを獲得した坂本さん、おめでとう。
以前、アイスショーで間近に見る機会があって、滑りのスピードとそこから跳ぶダイナミックなジャンプに魅了されて、それからずっと応援していた選手でした。
あのスピードのあるスケーティングと流れから跳んで着氷後も流れるジャンプは唯一無二で、日本人女子からこんなスケーティングが上手い選手が出てきたことが誇らしかった。なのに、3Aや4回転が跳べないことで、全日本女王になってもそれほど注目してもらえず、世間では冷めたコメントを投げられたこともあった。
スケーティングの良さは生で見ないと実感できないものもあるけど、ジャンプはテレビ越しでも分かりやすいから、一般視聴者の注目はつい何回転跳んだかに行きがちになる。
3Aや4回転を必死に練習してきた時期もあった。
体型やジャンプの跳び方で、どうしても向き不向きもある。
自分にしかできないスケートの追求、それが坂本さんの戦い方でした。
樋口さんは4年前代表から漏れて悔しい思いをしながらも、オリンピックの舞台で3Aを2本成功させるまでに成長した姿に感動しました。
河辺さんは大きな国際大会への出場がいきなりオリンピックだったというのが、不運だったと思います。ジャンプの調子は合わなかったけど、スケーティングは以前よりずっとよくなっていたから、まだまだ伸び代がありそうです。
ドーピング問題が起こる前は、オリンピックでワリエワの演技を見ることを楽しみにしてました。
試合を重ねる度に記録を更新していくので、どんな完璧な演技をしてくれるのか、どんな記録を更新するのか。
でも、フリーで見たのは痛々し過ぎる姿でした。
だから、日本人がメダルを取れたのは嬉しいけど、複雑な気持ちがあります。
万が一、組織ぐるみのドーピングだったとしたら。国威発揚の為に、小さな女の子達が将来寿命を短くするかもしれない薬を投与されているとしたら。
ドーピングが分かった時点で、試合には参加させるべきではなかったと思います。
16歳は未満は保護される、出場を阻止することは彼女に回復不能な損害を与える、という不可解な理由で、試合に出ることが認められたけど、もし、金メダル候補の注目選手でなかったら、ロシアのような大国の選手でなかったら、違った判断がされていたかもしれない。
その後にワリエワに起こった非難の嵐。試合を辞退しろとまでいう人もいた。
国のエリートアスリート養成機関で強力な支援を受けて代表に選ばれているわけだから、本人の意思で辞退するなんて無理だったと思う。
出場を許可することで、若い選手に回復不能な精神的な傷を与えてしまった。
不思議だったのは、ロシアのスケート関係者は一斉にワリエワを擁護、一方でドーピングはフェアではないと激しく非難していたのは北米のスケート関係者でした。
ジョンカリーの自伝映画で、ジャッジの何人が西側か東側かで、試合の勝ち負けが決まると語る場面があったけど、今もフィギュアスケートには東西対立の構図が残っているように思いました。
今後、ドーピング問題がどう明るみになっていくか分からないけど、国のメダルの為に過酷な競争で少女が使い捨てられるようなことはなく、選手一人一人が尊重される中で競技のレベルを引き上げていける、女子フィギュアの未来が明るいものであって欲しいと思います。