半年ぶりに会った友人と某お好み焼き屋さんに行った時のこと
一杯だけ飲もう ということで
メニューをみる。
そこには、ビールがあったんです。
ビールがあったんですけど、
どうしても、目に入ってくる文字が
「ガリガリ君サワー」
もう外れやん?
明らか外れやん?
何がどうなろうと、お好み焼き・焼きそばを前にしたビールには勝たれへんやん?
「・・・焼きそばと、とん平焼き。あと、このガリガリ君サワーを一つ。」
やってしまった。
私は絶好のど真ん中ストレートを見送り
外角低めのボール球に手を出してしまったのだ。
外は、土砂降りの雨。
しかし、私の気持ちは意外な程晴れやかなものであった。
心のどこかで、「お好み焼き屋さんでビールを注文する」という、ありふれた日常に退屈していたのかもしれない。
同じ事の繰り返しの生活の中
少しだけ、そのリズムを変えてみる。
ビールではなく、ガリガリ君サワーを注文する。
それだけで、今見ている景色が少し変わるのではないだろうか。
根拠なんてどこにも無かったが、何故かそんな気がしていた。
少しだけ、息を多く吸い込み
ゆっくりと吐き出した。
騒がしい店内が一瞬、静かになったように感じた。
店員「お待たせしました。ガリガリ君サワーのお客様ー」
「あ、 はいっ!」
いつもより大きめに出た自分の声に少し驚きながら
私はグラスを受け取った。
え、何これ
ビールにしたらよかった。