百合いろの音
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2✖2✖F✖2


瓦解していく追憶を眺めていた。
無何有の世界。
もう遠い彼処へ導かれる扉も無くなることだろう。
悲しいか?君は、悲しいのか?
いや と一息おいて僕はお前にこたえる、無感覚でありながら落ちそうだ。どこかに、崩れたあの子たちが居やしないかと、泣いてはいないかと…
引きずり込まれるな。見ろ、すべてが崩れていく。あの景色の音も、忘れるのか?
お前は僕の感覚と重ねるようにそばに寄る、まるですべてはひとつのものだったとでも言うように話す、
冷たい空間だったろう。そこから、立ち離れられる微笑みさえ ああして解かれていくではないか。
聞こえる。あぁ、聞こえる。
喜びに絶望した喚起の諧律だ。
遥か上空から舞い続く螺旋階段を伝ってくるような、哀と悦のうたごえ。

静かに静かに去っては追いゆく
沈痛な重い足を添えて。

はじまりのおしまい。


君が残したすべてはなんにでもならない。
きっと無いのといっしょで
わたしは欠伸をするようにそれを飲み込む
すると毛穴とか口からなんとなく君を感じる、君を思いだす
べろの上になつかしいような、つい最近味わったような感覚。
鏡のまえでべろをべろっとだして確認してみる
やっぱり何も見えないし、何も残ってない
なのに今度は背中のほうから
君の感触が匂ってくる
ほわっ。
居ないんでしょ?
しってるよ。
居ないのに。
寂しいひとりごと。
この宙に浮く言葉を食べてみたって
きみには届かないんだろうな

乙御前

チョコレートを愛する人がいた。
彼女は一つを愛すると、随分と長い間それ一色になるような単純な可憐さをもっていた。
いつもいつも右手にミルクチョコレート。
毎日、それだけを口にする日々。
憧れと心配とで、不安定に揺らぐ彼女への甘い煩い。
それとは露知らず、冬の終わりを映したある夕闇の空の下、
彼女は何かを頬張っていた。
「唐揚げよ。」
温かな湯気に包まれた彼女の明日からの未来が、
僕には見て取れた。
「愛してるの。
 愛してるからこそ愛してるものだけを身に供したいの。」

今もいつかも彼女の唇が一言一句違わずに呟いた言葉。
僕は、そんな何色にも染まる鈍色みたいな彼女が好きだと言った、
「虹色?」
まるで少女のように上気させた頬はピンク色で、目を輝かせた彼女が笑った。
「素敵。だけれど、虹色って探すのがきっと大変ね。」
ありきたりな願いをあえて口にしよう、
彼女の未来が、虹色を放つ日々であるようにと。
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