発表会が終わって次のレッスンの後、たまたま初めてのソロに挑戦した二人とランチに行きました。初ソロの感想などを聞くうちに、嬉しい報告がありました。

それは、ギターと唄との合わせを重ねていったらだんだんと良く聴くことができるようになった、ということ。

これは経験していないと良く分からないことかもしれないけど、ただ音や音楽が「聞こえる」のと「聴く、聴ける」というのはまったく違います。

群舞だけ踊ってる時は何となくやっていても誰か勘の良い人がリードしてくれたりして、ささいな音やリズムが聴き取れなくても無難に踊れてしまったりするけどソロとなるとそうはいかない。唄やギターを漫然と聞いているとリズムに乗ることが出来ないし、自分の出す不安定なリズムにバックが揺れると途端に分からなくなる。初めてのソロではいつも何気なくやっていたことが何故か出来なくなり、冷や汗をかく…という経験は私にもあります。

私の感覚では「聴く」というのは自分の体の中、細胞に音やリズムが沁みてくるイメージです。バックと一緒にコンパス(リズム)を刻んでいる感覚があります。体調が悪い時や集中力に欠ける時は体に入ってこない、外で鳴っているような気がします。


良く「私はリズム感ないから…」という人がいるけど、リズム感は鍛えられます。学んで身につけていくもので、経験値で感覚が変わります。私は初心者の頃より、今の方が細かいリズムに敏感になっていることは確実です。かつては気にならなかった微妙なリズムの違いがわかるようになっています。それでもまだまだ気づいていない、もっと高度なリズムの世界にこれからも進化して行ってみたい。

「耳が抜ける」という表現も時々聞きます。ある時、ふと音を取る(聴く)感覚が変わるのです。それまで聞こえなかった音やリズムが聴けるようになるのです。ランチに行ったうちの一人はシニア世代ですが、ある時ずっと入らなかったコントラ・ティエンポ(裏打ち)がすっと入るようになりました。本人は「コツがつかめた」と言ってましたが、耳が抜けたのかもしれませんね。

二人とも、ギターやカンテの合わせを重ねるうちにだんだんとリズムがずれることが減ってきて、本番もとても上手くいきました。何年も群舞でやっていて出来なかったり意識していなかったことが、ソロに挑戦することで初めてわかるのです。もちろん、沢山練習もしますしね。

フラメンコは本来一人で踊るもの。振り付けはいくらでも易しくできるので、私はみんなにソロに挑戦して欲しい!そこで初めてフラメンコの本質に出会うからです。

もっと上手くなってから、なんて言ってはダメ!ソロに挑戦しなければフラメンコを良く知ることが出来ないし、知らないまま上手くなんてならないのですからね♪上手くなった、なんて思える日は永遠に来ませんよ〜😆