監督はケイリー・ライカート。
『リバー・オブ・グラス』がよかったので劇場で鑑賞。

舞台は、1820年代の西部開拓時代のアメリカ・オレゴン。
料理人クッキー(ジョン・マガロ)は、ロシア人から追われる中国人ルー(オリオン・リー)を助ける。
だがクッキーは開拓者のグループから除け者にされ、のちにルーと再会。
二人は有力者が飼っている、その地で最初の牛からミルクを盗み、ドーナツを作って儲けようとする。

薪を割って火を起こしたり、乳を絞ったり、手作業が多い風景がのどか。もちろん開拓時代は弱肉強食で生き残るのは大変だろうけど。
自然の中でのゆったりとした時間の流れにちょっと眠くなりつつ、癒された。

こっそり牛のお乳を取りに行き、そのミルクでドーナツを作る二人。
ドーナツは穴が空いている形ではなく、スコーンみたいな丸めた形。こんがり美味しそう。
ドーナツの評判は瞬く間に広がり、領事?(牛の飼い主)もドーナツを気に入る。
いつドーナツが牛のミルクだとバレるかヒヤヒヤ。
どこからミルクを調達してるのか、考えないものなんだな。

森の景色や川の流れの撮り方も美しかった。
2人以外の人物も印象的に撮られている場面があるけど、ほぼ絡んでこず、あくまでも二人中心。

アメリカの地で成功を夢みた二人の行く末に、ちょっと切ない気持ちになった。欲を出してしまうと止めどころがわからんよね。

映画の冒頭に「鳥には巣、蜘蛛には網、人には友情」(ウィリアム・ブレイク「地獄の格言」)があらわれる。最初のシーンで、現代の少女が「あるもの」を発見する場面もあるので、最後はどうなるかなんとなくわかって見れる。
といっても、ベタな友情の表現はなくて淡々としているのが自然でよかった。