勤務先を出て、駅までの10分の道のり。

私はいつも携帯を取り出して、毎日、必ず、母に電話をかけていました。

 

遠く離れて暮らす高齢の両親の生存確認の為だったけれど、

そうとは伝えず、もっぱら

私の夫、会社の愚痴、子供の心配事等を、私が母を頼るかんじで話をしていました。

母を頼ることで、親としての権威を保つことが出来、しっかりしなきゃと思って

長生きしてくれるんじゃぁないかな。と思っていたのです。

 

でも、コロナがはやり始めていたあの頃、

母の声はかすれ気味になり、力が失われつつありました。

 

これまでとは健康状態が変化してきていることが電話越しにもわかっていたのに、

私から母に「心配している」と、伝えることは、とても難しかったのです。

 

プライドが高くて、甘えたことを決して、言わないと人だったので、

高齢夫婦だけで暮らすふたりの生活を、「心配してる」と伝えることは出来なかったのです。

 

実の母なのに。。。

 

最期の電話はとても短く、

 

「コロナはなんなんだろうね?怖いね。」

「気をつけてかえりなさいよ。」

 

と、何気ない、会話でした。

母の様子にものすごい違和感を感じながら、

声を聴いて、あぁ今日も生きてた。と電話を切りました。

 

この会話が、最期になるとは想像できていませんでした。