純血を主張して咲く白い花

   すべての色を内に抱きて











僭越ながら、一宮市三岸節子記念美術館の

三岸節子<短歌ポスト>平成25年度前期分の

優秀作品に選ばれました。

掲句は節子の「白い花『ヴェロンにて』」と

対峙して生まれました。

近日中にホームページに掲載される予定です。

また、館内ロビーにも掲出されます。

http://s-migishi.com/moyooshi/main.html


老いてなお、ますます、その画業に並々ならぬ情念を、

生のすべてを注ぎ続けた節子の作品の前に立つと、

ことばの限界を遥かに超えた、

ことば以前の濃厚で根源的な力を浴び続けます。

最晩年の節子の代表作、「さいたさいたさくらがさいた」の前に

初めて立った時には、涙が止まりませんでした。

魂の震え、などど、言葉にすると、その言葉こそが

安っぽくなる、そんな作品です。

自らはことばを扱いながら、

ことばの限界を超えるものこそが「ほんもの」なのだ、

という思いは、いつも私の中に、どん、と居座っています。


それでも、ことばは、そのもどかしさゆえに、

発した瞬間に「真実であった」という過去になるゆえに、

わたしから吐き続けられていくのでしょう。

娘をひとり、産みはしましたが、

そのほかには絵も音楽もなにをも産まないわたしには、

その瞬間だけは「ほんもの」である、と感じることばを

摑んで、文字にしていくしかありませんので。