<問題の所在>

刑事訴訟法328条では、伝聞例外に該当しない証拠であっても公判での供述の証明力を争うために証拠とすることができるとなっている。この「証拠」は「公判での供述」をした被告人や証人本人の矛盾する供述に限られるのか、それとも「公判での供述」と矛盾する内容の第三者の供述でもいいのか。

 

<論証>

そもそも、伝聞例外として321条から327条に列挙されている証拠は、容の真実性が問題になるため原則として証拠能力が認められない伝聞証拠(320条)の例外として、内容の真実性が担保されているものの類型になる。

そして、328条は、内容の真実性が担保されていない証拠であっても公判での供述の証明力を争う弾劾証拠とできるとする例外を定めた規定になる。

公判での被告人や証人の供述と内容が矛盾する第三者の供述を弾劾証拠とできるとすると、その第三者の供述の内容が真実であることが被告人や証人の供述の証明力を争う前提となる。だとすると、内容の真実性が問題になるため、伝聞証拠として321条から327条に適合しないと証拠として認めるべきでないということになる。

一方、被告人や証人の自己矛盾供述であれば、公判での供述と矛盾する供述があるという事実のみで公判供述の信用性に疑問を持たせることになるため、内容の真実性は問題とならない。

よって、328条で弾劾証拠とできるのは自己矛盾供述のみとなる。