ネタバレを含みます。 


20 年以上前に、テレビの金曜ロードショーで観たアナザへヴン。 
ドラマで見た独特の世界観に惹き込まれ、映画にも興味を持って観ました。 
どちらも素晴らしいクオリティーです。 
 

何故、この作品に惹かれたのか自分なりに分析してみました。 
刑事が人間離れした謎の猟奇殺人事件を追っていく内容なのですが、犯人は未来から来た『何か』でした。 
 

未来は平和でつまらない。

ニュースでは連日、残酷な事件が報道され、世界のいたるところで紛争が起き、憎しみに溢れ、人道性を遺棄した現代の方が『何か』にとっては楽園に感じたのです。 
 

そこで『何か』はつまらない平和な未来から抜け出し、現代へとやって来たのでした。『何か』は人間の中に入り、乗っ取った人間を使って悪逆非道の限りを尽くし現代生活を満喫します。 
 

人は、自分の中に残虐非道な一面を少しはもっていると思います。しかし、日常生活を送る上では理性や良心がそれを制しています。 
 

この物語は、そういった人が誰でも持っている、しかし、自分でも自覚したり認めるのが、はばかられるような残虐性と、それを制し善良性を維持し他者や自分を保護しようとする側面(この映画で言えば刑事的な側面)を見事に忠実に再現したものだと思います。 
そこには、まるで鏡に映し出されたように自分自身が見事に描き出されている、そう感じた人々が当時は多かったのではないでしょうか。 
 

それがきっと、当時社会現象を引き起こすまでになった理由ではないかと感じました。TVドラマ、映画、原作小説があります。 

 

興味がある人はぜひ見てみてください。

見ない方がいい。 
日本中の悪意と狂気を一つの教室に凝縮したような映画。 


役者の演技、脚本、演出はバッチリはまっています。それ故に、見た人の精神をどん底にたたき落とすほどのインパクトを持っている。 
誰も救われない。絶望に満ちた映画。 
 

原作者である湊さんはどういうきっかけで、『告白』を書くに至ったのか、どういう想いをこの作品に込めたのか、気になります。 
そして、この映画や、原作小説が、大ヒットする社会背景に、日本という国が持つ闇の深さを感じました。 
 

この映画で描かれている残酷な人間模様に対して、かなりのリアリティーを感じる人がいなければ恐らくヒットにはなっていないはずなので、少なからず部分的にこういった風潮があるんだぞと、日本社会に潜む暗部を突きつけられたような気分でした。 
 

見てしまったことを後悔したくなかったので、これはきっと、日本社会が抱える闇に警鐘をならす作品なんだと自分自身を説得することで、視聴したことを正当化したのでした。 


うーん。鬱になる……

敵対するマスターやサーバントの知略に翻弄されながら、自分自身を見失わず、信念を貫こうとするセイバー、ライダーが、かっこよくて、大好きです。 


もう一人好きなキャラクターが、ギルガメッシュ。 
常軌を逸した冷酷さを自然体で表現し、自分以外の人間を、虫けら同然に扱う、日常には存在しないキャラクターを、ここまでリアルに表現できる、関智一さんが素晴らしい。 
 

登場人物たちの冷酷さや残虐性が培われた歴史や時代背景が、緻密に設定されているのも魅力の一つです。ラノベ風の作風であるにもかかわらず、作品の世界観は、人間が今まで培ってきた、文化や歴史の本質をとらえているようにも感じます。 


そしてなんといっても、奈須きのこさん原作の『Fate/stay night』をより、パワーアップさせて、原作の良さをさらに引き出した虚淵玄さんが素晴らしい。 
原作の良さを少しも損なうことなく、聖杯戦争の歴史や魔術師の何たるかをさらに掘り下げ、新しい深みを持たせた虚淵玄さんは本当に素晴らしいです。 


もうすでに視聴された方も多い作品だとは思いますが、未視聴の方は、ぜひ見てください。

ネタバレを含みます。

久しぶりに本を読んで泣きました。 

 

あまりに有名すぎるのと、恋愛ものという不得意なジャンルのため敬遠していましたが、読 んで良かったです。 

恋愛小説は、今まで何冊か読んできましたが、あまりピンと来ないというか、つまらないわ けではないですが、他のジャンルの小説と比べると、そこまで面白く感じないことが多かっ た。 

 

そんな私でも、この小説には、素直に感動しました。 

異性に対する純粋な好意、愛情は、美しい。 

 

読む前は、「恋愛ストーリーでヒロインが病気なんて定番でベタな設定だなあ、それで こんなに売れるのか?」と、ちょっと意地悪な気持ちになってしまっていたのですが、読 んでみて、自分のその浅はかな考えは完全に払拭されました。 

 

終盤の仲直りのくだりでは、真心のこもった純粋なやりとりに胸が熱くなり、通り魔に桜良が 刺されたところでは「なんで桜良にそんなことするんだ! せめて病気で寿命が来るまで 仲良くさせてあげろよ!! せっかく分かり合えて来ているのに!」 と、住野さんに対する憤りを覚えたのですが、ここまでのめりこんだ作品は、今まであり ませんでした。

 

主人公と一体になって、喜んだり悲しんだり、最後の勇気を振り絞った友達づ くりの壁を乗り越えたり、この世界を、登場人物たちと一緒に生きているような素晴らし い読書体験ができました。

小説を読んでここまで笑ったことはないと思います。

 

チャーミングな村上さんの一面に 触れることができました。野球に対する愛と熱さと、スワローズを愛するがゆえの苦悩や葛藤を、コミカルな切り 口で熱く語ってくれます。

 

それぞれのエピソードで、村上節がさく裂していて、筆致の魔力が存分に村上ワールドへと誘ってくれ ます。村上さんが書いたら、小学生の日記ですら一つの小説になってしまうのではないか。 普段すれ違う赤の他人や、代わり映えのない風景の中にこそ、本当の物語が潜んでいる。と感じさせてくれる内容でした。

 

きっと彼らにも、人生のドラマがあり、秘密にしているドラマがあり、歴史があって今そこにいる。 

 

読み終わって、少し人間というものを好きになったような気がします。