最近、不便なUXを経験して改善されたUXが、むしろ不便さを感じ、多くのユーザーの不満を引き起こして結局ロールバックされる事態が発生しました。
UI/UXデザイナーとして今までのレファレンスを探す際、知らない分野であれば、似たようなアプリをいくつかダウンロードして一つずつ使ってみることで、多く使用されるUXフローやUI形式を収集し、唐突な画面を構成しないようにしてきました。慣れていないことは不便さを生みやすいので、UXデザイナーとしてはこれを重要視すべき課題と考えています。
UXフローが不便でないかを検証する際、必ず「目標」を持って行わないと問題点を発見するのは難しいです。ただクリックしてみたりして「問題ないね」というような方法では問題を見つけることが難しいです。
「目標」とは例えばこういうものです。決済関連のUXを作った場合、「ホーム画面から特定の物を選んで決済しようとする。クレジットカードを使用し、パスワードまたは生体認証に何度も失敗して決済がキャンセルされる」という目標を設定し、このルートに従って違和感がないか、キャンセルされたときにA画面が表示されるように企画されているが、その画面が唐突に感じられないか。こうした点をプロトタイプツールでテストして、違和感があると分析して改善します。
このように改善はしますが、気になる点もあります。それは、毎日決まったルーチンでこのアプリを使用するユーザーは本当に使いやすいと感じるかということです。UXデザイナーは仮説を立て、それを検証し、リサーチを行い最も使いやすいUXを作り出しますが、仮説はあくまで仮説であり、このアプリを本当に必要として使っているユーザーは本当に使いやすいと感じているのか気になるのです。
ゲーム会社で働いてはいませんが、一時期ゲーム会社を目指していた頃、ゲームの現状分析などをよくしていました。その時感じたのは、本当にゲームをやり込んだベテランユーザーでないとわからないことが多いということです。数日リサーチして分析した程度では足りないのは当然でした。以前ゲーム関連の学校に通っていたとき、業界で働いていた先生が「ユーザーはゲーム開発者よりもゲームをよく知っており、開発者も知らない機能を把握している」とおっしゃっていたのを思い出しました。これは当然のことで、作られたコンテンツをどのように活用するかは無限に広がっているため、バランス調整が行われ、コンテンツ改善が行われるのです。このような「真のユーザー」に会ってみたかったのです。
しかし今、私がプレイしているゲームでUX/UIが改善されたのですが、むしろ不便さだけが増えたという事例が発生しました。多くの人が投入されて分析を行い、リサーチを行い、仮説設定をしていくつものシミュレーションをした上で作られたUXだと思いますが、それが不便に感じられ、最終的にはロールバックされる結果となったこの事例について、私はこのゲームを長年プレイしてきたベテランユーザーとして、どの点が不便だったのか比較する記事を書きたいと思います。
記事の目的
- 長年そのサービスを利用してきたユーザーのレビュー「真のユーザー」として自分の意見を記録する
今日紹介するUX分析記事の主人公は、私が始めてから20年近くプレイしている「マビノギ」というゲームです。ネクソンの長寿ゲームの一つで、ベテランユーザーが多く存在するゲームです。
最近20周年を迎え、「ファンタジーパーティ」というイベントを開催し、その中で次のアップデートで何が変更されるのかを発表する「ショーケース」がありました。このショーケースで、マビノギはUIを改善するという発表をしました。
マビノギがUIを改善すると言った理由は理解できます。マビノギのUIはかなりガラパゴス化していると言えます。ガラパゴス化していることに気付いたのは、何年もマビノギを離れて戻ってきたときでした。学生時代にはコンスタントにプレイしていたため、マビノギのUI/UXに慣れ切っていて不便さを感じませんでした。しかし、就職や学業のためにマビノギを何年か離れてから戻ってみると、言葉にできないほどの不便さを感じました。
マビノギのUXは全体的に少し不便です。それがUX設計の問題だけではないように感じます。おそらく古いゲームであるため、機能やコンテンツを追加していく中で、現実的にユーザーに不便を感じさせざるを得ない現実的な妥協が行われてきたのかもしれません。何度かUIが時代の変化に伴い変わったことはありましたが、基本的な枠組みは維持されているため、大きく変更することができなかったように思います。
出典:[マビノギ] 20周年ファンタジーパーティ「2024夏ショーケース」
ショーケース当日、私は会場の遠くから画面を見ながら「見た目は結構いいじゃないか。使いやすいかもね。他のゲームで見たことのあるUIに似ている。マビノギ特有のガラパゴス化したUIとUXをなくそうとし、新しいユーザーの流入を期待しているような意図が感じられる。新しいユーザーも、ベテランユーザーも、誰でも迷わずに使えるように…」と思いました。
マビノギのUIはガラパゴス化していると考えていたので、それでもトレンディに見えるように変更された見た目だけでも一見魅力的に見えたのかもしれません。ショーケースの日、私は列に疲れ、外の活動に疲れた状態だったので、見た目だけを見て「まあいいか」と思っていたのかもしれません。
ブラックスミスショップ、どこが改善されたのか?
ショップ - ブラックスミス図面購入画面。左 - 元のマビノギUI(バッグ型)右 - 改善されたマビノギUI(リスト型)
マビノギはこのように改善点を説明しました。マビノギのショップUIは少し不親切な状態です。ゲーム内アイテムであるブラックスミスの図面を購入する際、名前が全く見えず、マウスで一つ一つホバーして希望するアイテムを購入する必要がありました。そこで、リスト型に変更し、名前と価格がマウスをホバーしなくても見えるように改善するというものでした。
ショーケースでこの画面が紹介されたときまでは、私はポジティブに考えていました。アプリやゲームでUIが変更されると、最初は不便を感じることが多いですが、慣れれば使えるようになるだろうと思い、UI改善パッチが来たら早く使ってどの点が良いか考えてみたいと思っていました。
しかし、目で見て頭でシミュレーションするのと、実際に使ってみるのは全く異なりました。
実際のプレイ中に発生した問題 - マヨネーズクエスト購入段階での問題
-料理クエストでの問題点
元のマビノギショップUI(バッグ型)
(理解のために、Google画像翻訳を使用しました。)
マビノギでキャラクターを育成するために使う「共感のブリ」を獲得するために行う反復クエストです。簡単にクリアするために「マヨネーズ作り」料理クエストをよくやりますが、元々こうであったUIがパッチ後、突然不便になりました。
パッチ後のUI(リスト型) - マヨネーズ作りクエストはどこでしょう?
問題点はこのスクリーンショットを見た誰もがわかるでしょう。マビノギのユーザーでなくてもわかります。アイテム名が「料理クエスト」で、その中に「マヨネーズ作り」というミッションがあるため、ブラックスミスの図面アイテムとは違いがあります。
アイテム名が見えないのは同じですが、リスト型にしてスクロールが追加され、希望するクエストを探すのがさらに不便になりました。
元の操作フロー
グリニスと会話 → 取引をするをクリック → クエストタブに入る → 目的のクエストをマウスでホバーして探す
パッチ後の操作フロー
グリニスと会話 → 取引をするをクリック → クエストタブに入る → 目的のクエストをスクロールしながらマウスでホバーして探す/検索は不可(マヨネーズクエストがアイテム名ではないため)
パッチ後は、さらにスクロールして上下に移動させる操作が追加され、やることが増えました。
幸い、マヨネーズ作りクエストはスクロールしなくても見つかりましたが、他のクエストであればスクロールが必要だったでしょう。
出典:マビノギのお知らせ https://mabinogi.nexon.com/page/news/update_view.asp?id=4892079
このような問題が多く、ユーザーの不満が高まり、ユーザーの反応が気になって多くのユーザーが活動するカフェにも行ってみましたが、ロールバックを望む声が多かったです。間もなく元のUIも使えるようにパッチされ、快適に使用しています。
料理材料の購入での問題点
左 - 元のマビノギUI(バッグ型)右 - 改善されたマビノギUI(リスト型)
マビノギでは料理ができますが、料理材料を購入する際にもパッチされたUIは問題を引き起こしました。
元々は食料品の欄に非常に多くの種類のアイテムが一目で見え、すぐに購入できたのに、パッチ後は最初のスクロールでわずか3種類のアイテムしか見えなくなりました。
1, 5, 10, 20単位のアイテムが繰り返し表示されているのは、以前はマビノギに個数を入力して購入するシステムがなく、ユーザーの利便性のために小分けして売るアイテムを種類ごとに作っていたからです。
しかし、UIをリスト型に変更するのであれば、少しでも多く見えるように、これらのアイテムを一つにまとめ、個数を入力して買う形式に変えるべきではなかったかと考えます。どうしても変えたいならばですが。
UI、UXを変えると企画を変更しなければならないことがあります。理解できないわけではありませんが、マビノギには多くのコンテンツがあり、全てを変更するのは難しく、これを変えるとあれが問題になり、あれを変えるとこれも変えなければならないという問題が頻発しそうです。
最悪の場合、アイテムが2種類しか見えません。
例えば私はエビの調教用餌アイテムを作るためにエビを購入しなければならなかったのですが、このリスト型でエビアイテムを購入するために、マウスホイールを3回ほど大きく回さなければなりませんでした。
検索機能を使うこともできますが、検索機能も手間が増えます。
元の操作(バッグ型)
- エビを探す
- Ctrlキー(マビノギの購入専用ショートカットキー) + エビアイテムをクリック
リスト型の操作
目視で探して購入する場合 -
- スクロールして探す
- エビを探す
- Ctrl + エビアイテムをクリック
検索して購入する場合 -
- 検索バーをクリック
- 検索語を入力するために「エ」を打つ
- 再びマウスを操作
- Ctrl + エビアイテムをクリック
とにかく面倒です。ユーザーを面倒にさせるな!考えさせるな!
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スタートアップでUI/UXデザイナーとして働いています。
日常生活や仕事などで感じたユーザー体験について記録しています。








