3か月間、プーナに滞在し、
和尚から名前をもらい、
ピッカピカに変貌を遂げた
彼女を目の当たりにして
”私もプーナで毎日瞑想をして、
和尚から、私の本当の名前をもらい、
生まれ変わるんだ!
もう、今までの砂をかむような日常と
オサラバするんだ!”
と、心に誓った。
そんな切なる私の願いを叶える為に、
考えうる限りの準備は全てしてきた。
が、出発した今、
身体は胸から勝手に進んでいくが、
緊張で、足はブルブル震え、
心臓のバクバクが止まらない。
パック旅行の経験しかない私が、
本当に一人で無事にプーナに辿り着けるのか?
震えながら思いを巡らす・ ・ ・
もし危険な目に遭ったら
「ここで死ぬんだ」
と覚悟しよう。
自分を落ち着かせるには、
もう、この考えしかない。
ー ー ー ー ー
プーナの和尚の所へたどり着く為に、
日本で得た情報3つ
1.機内には、
プーナへ行く日本人が必ずいるから、
見つけて一緒に行くこと。
2.インドの空港では、夜は絶対、
外に出ないこと。あまりにも危険だから。
3.プーナへは、
空港でタクシーチケットを買って行くこと。
と 「死ぬ覚悟」
を携えて、国内便を乗り継ぎ成田へ。
~ ✈ ~ ✈ ~ ✈ ~
成田空港到着。
まず、ここで「情報1」の実行だ!
「機内に必ず一人はプーナに行く人がいる」
とのことなので、
それほどたくさんの日本人が行くのなら、
空港でバックパックを抱えている
それらしき人は、可能性があるのでは?
不安が先走り、早くも手荷物検査に並ぶ人々を
はしこく目で追う。
20m先に、リュックを背負った青年を発見!
逃すまいと、大きな声で、
青年めがけて、
「君いー、プーナへ行く~?」
と叫んだ。
必死な私の氣が届いたのか、
その青年は驚いた様子でこちらを見てくれた!
が、
残念!!首を横に振る。
「ちょっと声をかけるのが、早すぎたか😅
まだ、大丈夫、大丈夫」
早目に搭乗ゲートに着いて、
隅々まで、目を走らせて
それらしき人に声をかける。
一人、二人、三人・・・
が、みな違うと言う・・・
「おかしい…聞いている話と違う…😰
一人もいない💦」
身体中に緊張の戦慄が走る。
インドの空港に着くのは深夜なのに、
一人でどうやって、空港で過ごすというのだ!!
(*_* ;) (*_* ;)
「で・・・、でも、もしかしたら、
まだ見落としがあるのかも」
と氣を取り直し、
機内に乗りこんで、
落ち着いた時点で席を立ち、
かなりの勇気を振り絞り、
さも、心臓に毛が生えている人の振りして、
「プーナへ行く人いますかー?」
と、大きな声で通路を歩き回る。
何が何でも、一人でも
一緒に行く人を見つけないといけない!
💪 💪 💪 💪 💪
がしかし、その願いは叶わず、
誰一人反応する人はいない・・・
恐怖で身体が震え、呆然と立ちすくむ。
しかし、立っていても仕方がないので、
とりあえず席に戻り
「落ち着け、落ち着け」
と自分に言い聞きかす。
- - - - -
とその時、
ある言葉が頭に飛び込んできた。
「今、ここ」
そう言えば、出発前に読んだ和尚の本の中
「今ここ」と書いてあったな・・・
「そうだ!どんなに不安な状況であっても
今ここにいるんだ!」
震えながら、必死で、今ここにいようとした。
* * * * * *
2つシートの隣の席には、
背広を着た中年の日本人男性。
少し話をしてみようか・・・
聞けば、
奥さんはタイ人で、
里帰りしたまま、戻ってこない
奥さんと子供に会いに行くらしい。
なんか純朴そうな人・・田舎の人なのかなぁ・・
話していくうちに、私は最近読んだ、
和尚の本の内容を熱弁していた。
☆ ! ☆ ! ☆
私の熱さに影響されたのか、
とても興味深く聞いてくれたので、
バンコクで降りるその男性に、
持ってきた和尚の本をあげた。
とその時、何故だか分からないけど、
”和尚の写真が印刷してあるカバーを外して”
中身の本だけを渡した
このことが後々、
自分の身を助けることになるとは
全く思いもよらず・・・
* * * * *
さて、
バンコクのトランッジットで、
ガラッと人が入れ替わり、
人種は黄色人種から
東南アジア系、西洋系へ。
「タイにはたくさんの日本人が
旅に行っているから、バンコクからでも
プーナへ向かう日本人はいるだろう」
という望みを賭かけて、
再び通路を歩き回り、
それらしき黄色人種を見つけては声をかけた。
が、全くいない・・・
今度こそ、本当に無理だ・・・
恐怖が現実のものとして押し迫ってくる💦
💀 💀 💀 💀 💀
席に戻ると、
隣はバックパッカーっぽい西洋人男性。
脈あり!?
こうなりゃ、一緒に行くのは外人でもいいと、
行き先を聞いた。
が、残念!!
次のトランジットのカトマンドゥで降りて、登山をするらしい。
⇩ ⇩ ⇩ ガックリ ⇩ ⇩ ⇩
次のトランジットはデリー。
もう情報1は諦めるしかない。
しかし、どうにかして、一人でも安全に、
空港で夜を明かす方法を考えなくては!
「今ここ」にいながら、
必死で頭を働かした。
..............
「そうだ!深夜に着く便がある空港なら
24時間開いているレストランがあるはずだ!レストランの中なら安全なはず!」
(冷静に考えると当然のことなんだろうが、不安で一杯の私には、
名案が思い付いた!という感じだった🙂↕️)
日本人のスッチーを捕まえ、
「ムンバイの空港に24時間開いている
レストランはありますか?」
と聞いたら
「2階にあります」
とのこと、
「やったー!!!
これで安全に空港で朝を迎えられる!」
とりあえず、ひと安心。
もう、あとは落ち着いていよう。
~✈~✈~✈~✈~
さて、ムンバイの空港に到着!
イミグレを、ほぼ素通りで通過し、
未知の国、インドに一歩足を踏み入れた途端、
私の目は、涙で潤んだ。
感動ではなく、あまりのショックで・・・
「き・・・汚い」
それは、、、
未だかつて見たこともない光景だった・・
空港だというのに、まるで廃墟だ!!
(きっと今はピッカピカなんだろう)
たぶん日本人には想像できない
汚さではなかろうか。
私は特に潔癖症というのではなく、
多少ちらかっていても、
大丈夫なタイプなのだが、
そんな私でも、
「どんな風に使ったら、、
こんなに汚くなるのか」
が理解できない・・
インドもアジアだから、
何となく、
タイの空港をイメージしていたが、
想像をはるかに絶する光景だ!!
今までの人生で、
「汚なさのあまり、泣きそうになる」
のは初めて。
しかし、
「ここで泣いたら死ぬ!」
と、グッとこらえ、
何とか、一粒の涙もこぼさず踏ん張ったが、あまりの想定外の光景に、
心身ともに緊張ガチガチ状態。
しかし、前に進まないとッ!
まずは換金だ!
💸 💸 💸
数万円を両替したら、
辞書のように分厚い札束が返ってくる。
そして、その札束は何と
”ホッチキスでとめてある!!”
お・・お金がホッチキスで留めてある💦
信じられない・・・
それもでっかい方の針で5か所も😓
しかも、超汚いし、くしゃくしゃだ!
こんなに汚いお札を見たのは、
これまた人生初だ!!
カルチャーショックを受けながらも、
早くホッチキスを外して、
小さい額のお札を使える用意しないと!
慣れない外人の女が一人、
大枚を持っているところを、見られると危険!
焦ってホッチキスを外そうとするが、
頑丈にとめられていて、なかなか外れない💦
力任せに外そうとしたら、
お札が破れた!!
お札が破れるなんて!
ショッーク!!!
いやしかし、
何枚かは破れず外れて、使える。
大丈夫、大丈夫💦
落ち着け、落ち着け
つ・・次はとりあえず、トイレだ!
インド初トイレを、
「どんな光景でも泣くまい!」
と、挑んだ。
目が少し慣れてきたのか、
どうにか突破して、手を洗っていると、
スラリとしたインド美人が
タバコを吸いながら、何やら話しかけてくる。
💦 ? 💦 ? 💦
緊張と恐怖のあまり、
何を言っているのかが、全く聞き取とれない。
アワワと苦笑いをしながら、
その場を去った。
(後で考えると、きっと大麻とかを
要らないか聞いていたのだと思う)
さて次は、レストラン探しだ。
スッチーに教えてもらった通り、
2階へのエレベーターやエスカレーター
を探した。
ビビっているのを人に悟られまいと、
速度を落とさず、やみくもに歩き回る。
👣 👣 👣 👣 👣
が、どこにも見当たらない💦
緊張のあまり、周りが全て危険に思え、
人に聞くことすら思い浮かばない。
どこかにあるはずと、
焦る気持ちを落ち着つかせ、
更に探しまくる。
やっと空港の片隅に、
大きなエレベーターを見つけた!!
「ヤッター、これで2階へ行ける!」
開いたドアに、勢いよく乗り込んだ。
すると中に、
一人のごっついインド人の男性が乗っている。
その男性は大きな目で私をグッと睨む。
ヒェ~っ、こわいよ~💦
ドアが閉まり、密室にその男性と二人。
「こ・・ここで殺されるかもしれない。
覚悟をしよう」
・ 💀 ・ ・ 💀 ・ ・ 💀 ・
緊張の戦慄が全身を走る。
早く2階に着かないか!!💦
ようやく2階に着いて、ドアが開いた!
怖がっているのを見破られないように、
なるべく堂々と、飛び出た!
殺されなかった!!
ホーーーー( ̄▽ ̄)
しかし、2階に着いたものの、
そこはバックヤードのような殺風景な場所で、
レストランに通じるような通路は見当たらない。
どっ、どうしよう・・
やっと、2階に着いたのに、
もう、何が何だか訳が分からない!
自分を落ち着かせるのも、もう限界だ!
と、ふと小さな窓を発見。
そこから、1階を見下ろせる。
覗いてみると、何人もの警官が
拳銃を持って、
切迫した雰囲気で走り回っている。
うっ・・ぅわーーーー、こわいよ~💦
何か事件でもあったのか!?!
もう、どうしたらいいか分からない💦💦
とにかく落ち着け落ち着け!!
ここからは、どこにも行けそうもないから、
とにかく、もう一度、1階に降りよう!
再びエレベーターのボタンを押し
来たエレベーターに乗ったら、
さっきのインド人男性が乗っている。
どうやら、エレベーターを
操作している仕事をしているようだ。
なので、殺されないんだ、
と理解し、今度は少し安心。
で、このバカでかいエレベーターは
荷物用なんだろう。
そりゃ、こっちを見るやろ。
黄色人種のバックパッカーの女が一人、
荷物用のエレベーターに乗ること自体が変だ。
1階に戻り、
再び2階への道のりを探していると、
遠くに、
「レストランがある」
と教えてくれた、日本人スッチーを見つけた!
インド人の同僚と、
颯爽と出口に向かって歩いている。
とっ捕まえて聞かないと!!と
走り寄り、
「すみませーん。レストランには
どうやって行くんですかー?」
と聞いたら、
「2階へは、一旦外に出ないと行けませーん」
と言うではないか!!
2階へは外からしか行けないって、
そんな空港あるかよ!?!
普通は中から行けるはずじゃん!
でも、それならそうと、教えておいてよ!
日本人と言えど、海外で勤めている人は
外国ナイズされていて、
ザックリとしか教えないんだ。
日本人のような、丁寧さが消え失せている。
(と当時の私は思った)
日本で得た情報2による
「夜は空港の外には、
絶対に出てはいけない。あまりに危険だから」
と、教えられた。
今は深夜・・・
情報1のみならず、情報2も叶わない・・・
外へ出ず、このまま廃墟で一人、夜を明かすのか、
それとも、
危険を冒してでも外に出て、
安全であろうレストランに辿り着くのか、
2者選択だ。
もう、腹を決めて行くしかない!!
ええい、ままよ!!!
一歩外に出ると、そこもまた、
未だかつて見たこともない光景だ・・・
人がたくさん外で寝ている!!!???
空港の壁沿いに、
人がズラーっと、向こうまで寝ている…
なんで人が沢山外で寝ているのか
訳が分からない・・・
緊張に加え、頭がフリーズ状態
- - - - - - - -
落ち着け落ち着け!
とにかく、前に進まないと!
でも、人が寝ているから、前へ歩けない💦
人が寝ているのを避けて進もうとすると、
空港から離れないといけない。
外へ出るだけでも一杯一杯なのに、
離れるなんてできない😭
ええい、もう、またいじゃえ!!
見ず知らずの人をまたいで行く。
この際、不作法などとは言ってられない。
一人一人、踏まないように、
またいで歩いていくと、
わらわらと人々が寄ってくる!!
ぅっ、うわーーー、こわい!!!
こっ・・殺されるのかっ・・・!💀?💀!
脊髄反射で、目から涙が溢れてくる💦
ここで泣いたら、絶対死ぬ!!!
こぼれそうな涙をグッとこらえ、
群がる人々を押しのけて、前へ進む進む!!
人々はみんな、手のひらを上に向けて、
お椀のように曲げて、差し出してくる。
群がるその人達からは、殺意を感じない。
もしかして、物乞いしているのか・・・?
と理解すると、殺されないことが解り、
泣かずにグングン進んで行けた。
ようやく小さな
「restaurant」という表示を見つけ、
階段を登って、やっとの思いで到着。
ほーーー( ̄▽ ̄)
しかし、そこもまた、未だかつて見たこともない
🌌暗闇のレストランだ🌌
が、安全地帯には違いないだろう。
目を凝らしながら、歩けば問題ない。
席に着き、瓶ビールを頼み、
これで一晩チビチビやり過ごそう、
ひと先ず、落ち着き~( ^^)
🍺 🍺 🍺
一晩中レストランにいると、
変に思われるかもしれない、
それなりの理由がいるだろうと思い、
ボーイさんに、
「明日の朝、タクシーで移動するから、
一晩ここにいる」
などと、律儀に説明をした。
すると、周りのインド人客達から、
妙な視線を感じる。そして、
「あの人は一晩ここにいて、
明日タクシーで移動するらしい」
とこっちを見ながら、
口々に言っているのが聞こえてくる。
「いちいち人のことを噂するなよ!!」
ビビっているから余計に腹が立つ!(~_~メ)
少しして、さっきのボーイさんが来て、
「朝までここにいるなら、
ソファー席の方、ゆっくり横になればいいよ」
と、何とも優しい笑顔で、
素晴らしい心遣いをしてくれたっ❤
「な…なんて優しい人なんだろう。
う・・嬉しい😿」
思えば、日本から緊張の連続で、
インドに着いてからは、
勘違いながらも、何度も死ぬ思いをし、
やっと、辿り着いたレストランで
インド初の優しさに触れ、
張り詰めていた思いが、一気に解きほぐれた。
💖 ♨ 💖 ♨ 💖
ソファー席に移動して寝る準備をていたら、
さっきの優しいボーイさんが来て、
何だろうと、笑顔で迎えたら、
ボーイさんはグッと顔を近づけ
静かに、
「ここで寝るなら、100ルピーよこせ」
と凶暴犯のような形相で睨みつけ
脅してきた!!
ひえ~っ、こわいーー(*_*;!!
あまりの形相の変貌にショーック!!
ブルブル震えながら100ルピーを渡す💦
優しい笑顔から凶暴犯へ!
こんなに変貌する顔をリアルで見るのは
生まれて初めて!
まるで、サスペンスドラマを見たようだ🥶
でも、
とりあえず、安全は確保できたみたいだから、
もう今日は何も考えずに寝ることにしよう。
グスン💦
大事なものを抱え、
海老のように丸くなって、眠りに落ちた。
🌠 🌠 🌠 🌠
🌞 🌞 🌞 🌞
朝になり、明るくなって、ひと安心。
どうやら、晴れているようだ。
あの変貌したボーイさんは、
仕事が終わったのか、もういない。
晴れやかな気分で、タクシーチケットを
買おうとレストランを出ると、
いきなり警官3人に囲まれた❢❢❢
❕ ❕ (◎_◎;) ❕ ❕
一難去ってまた一難!!
今度はなにーーーー!!!
3人とも、ピタっと私の体にくっつき、
三方囲まれ、全く身動きができない!!
うう・・今度こそ、本当にお終いだ・・・
屈強な警官3人
ライフル持ってる...
どうあがいても、もう無理だ・・・
インドまで到着したが、
プーナまでたどり着けず
私もここでオダブツか・・・
ガックリと頭をうなだれる。
お母ちゃん、ごめん…
・
・
・
でも・・私、何も悪いことしてない…
諦めと疑問の表情で、
おもむろに顔を上げ、警官の顔を見ると、
警官はニコニコしている!??
「こ・・・殺されない・・みたい!?!」
次の瞬間、目があった一人の警官が、
さっと、優しく先導し、何やら空港の周りで、沢山の人達が騒いでいる中を、
大事に守りながらエスコートしてくれた❕♥
そして、何も言っていないのに
タクシーチケット売り場へ連れて行ってれ、
「毎朝、空港の周りでデモがあって、
危険だから」
と、白い歯を見せてニカッと、
素敵な笑顔を残し、踵を返し、去っていった!
なっ、なんて優しいお巡りさんなんだ!!
私の身を守ってくれたんだ💖
ありがとう、ありがとう!!感激!!
♡ ♡ ♡ ♡ ♡
優しさに包まれ、ほんわかした気分で、
さあ後は、タクシーチケットを買うだけ(^^
晴れ晴れとチケットカウンターのおじさんに、
「プーナまで!」
と元気よく言ったら、
「プーナのどこだ?」
と聞かれた。
「えっ?プーナって、プーナじゃないの?」
と言うと、
「プーナはビッグシティだ。アドレスは?」
と聞かれた。
? ? ?
日本では、みんな
「プーナ、プーナ」って言うから、
プーナって言えば
和尚の所へ行けると思ってた!
アチャー
なんてアホな私なんだろう!!
悔やんでも、遅すぎる。
ドレスなんか知らないよう~😭
(当時はスマホがあるわけでもなく、検索もできないし、メールで聞くこともできない)
ここまで来て、あともうちょっとのところで、
ジ・エンドなのかっ!?
どうしようどうしようどうしよう💦
慌てふためいて
意味もなくリュックの中をガサゴソし始めた。
するとっ、
和尚の本のカバーが出できた!!
「こっ・・・これ!!!!」
と差し出したら
「アシュラム!!」
と、おじさんはニカッと笑って
「そうだろう、お前はアシュラムに行くんだな日本から、はるばる来たんだな。心得た!」
と言わんばかりの笑顔で応えた。
そう言えば、日本で、
アシュラムとかって言ってたよな・・・😅
おじさんは、領収書をくれて
「表示の金額は、
払った金額より200ルピー少ないが、
差額の200ルピーは
さっきの警官にいっている。」
と言った。
? ? ?
さっきの警官があんなに優しかったのは、
いいカモを見つけて、
短時間で高額バイトができたから
だったのか!!
警官が空港で公然と、バイトしているっ😲
タクシーチケット売り場のおじさんは、
群がるタクシー運転手の中から、
細くて小さなおじいさんを紹介してくれ、
私はそのおじいさんの
オンボロ軽自動車に乗りこんだ。
すると、沢山の若い男たちが車を囲み、
怖い顔して、フロントガラスや窓をバンバン叩く。
ひえ~、こわいよ~💦
もう、今度はなにーーー!?
と、おじいさんを見ると、毅然としている。
その姿を見て
「大丈夫なんだ」
と思い、もう安心することにした。
多分、男たちは同業者なのだろう
「いい仕事をもらいやがって!」
というところなのだろうか。
タクシーは全くスプリングがきいてない。
ガタピシと尻を打ち付け、
グングン街中を走り抜けていく。
🚙 🚙 🚙
大きな橋に差し掛かった所で、
またもや、衝撃の光景が飛び込んでくる
* * * * * *
ヘドロの河川敷で、人が住んでいる!?!
草も生えない真黒なヘドロと同じ色の人が、
下半身の大事な部分だけに、
ヘドロまみれの布を身に着け、
ヘドロまみれのテントに住んでる・・・
* * * * * *
こんな光景は、テレビでも見たことがない!!
この人達は、一生、このヘドロの河川敷から
外に出られないのではないか?
何を食べて生きているのだろう?
ドブネズミを食べているのだろうか・・?
きっと殺されてもニュースにもならないし、
誰も何も言わないんだろう。
人権がないんだ・・・
人として扱われてないんだ❕
人権が全くない世界を目の当たりにして、
目が釘付けになってしまった。
日本にいる時は「人権」など
考えたこともなかった。
今、人生で初めて
「人権」
という言葉が浮かんできた。
日本にいたら、普通に「人」として
扱われ、守られている。
守られていることすら
気づかずに生きている・・・
⋆ ⋆ ⋆ ⋆ ⋆ ⋆ ⋆
そんな私の気持ちとは関係なく
どんどん車は走りぬけ、その光景を後にする。
ポカポカと太陽の日差しが降り注ぎ、
こまでの道のりの緊張が、
陽だまりの中で、少しずつほぐされていく。
運転手のおじいさんは、
「疲れただろう。
安心してゆっくりと休んだらいい」
と、何とも柔和な笑顔で言ってくれた。
その笑顔は、
「たぶん信じて大丈夫だろう」
と感じ、安心して眠ることにした。
インドに着いてからの半日、
勘違いながらも
「ここで死ぬかも!!」
と言う思いを何度も体験しているうちに、
今まで、全く使っていなかった、
野性的な勘を、取り戻しつつあるようだ。
(-_-)zzz (-_-)zzz
目が覚めると、
木も生えていない乾燥した山の斜面を
切り開いたような所に着いていた。
近くに掘っ立て小屋のようなカフェがあり、
そこで休憩するらしい。
おじいさんは、車のボンネットを開けて、
モウモウと出てくる煙を解放していた。
車は大丈夫なんだろうか?
おじいさんは平然と、
いつものことの様にしている感じ。
だから、ちゃんと目的地に着くんだろう。
カフェに入り
おじいさんと少し離れた席に座り、
飲み物を頼んだ。
おじいさんと目が合い、
ニコッとしてくれた。
沢山のハエが飛びまくっている。
もう、そんなことは、あまり気にならない。
⋆ ⋆ ⋆ ⋆ ⋆
平坦だった私の日常が、瞬間瞬間、
天国から地獄へ、地獄からまた天国へと、
徐々に振り幅を広げ、展開し始めている。
アシュラムまで、あと、もう少し。
