久しぶりのブルックナーの交響曲。
大変に期待しながらサントリーホールへ。
きれいなコンミスさん(日下紗矢子さん)が、さっそうと現れて着席。
ああ、ドキドキする。
素晴らしい。
読響、素晴らしい。
思えば約20年前。
読響+スクロヴァチェフスキをほとんど全て聞きに行っていたころ。
池袋で聞いた9番が崩壊寸前だったのとは隔世の感。
とはいえ、期待が大きすぎた反動が。
若い頃と違って、細かいことを言って「通ぶる」のはやめて素直に楽しむようにしているのに、なんだろう・・・
弦は歯切れがとても良く、変にポルタメントやヴィブラートをかけない。
弓を押し付けた乱暴さもない。
金管もうるさくない。
これで「おお!」となりそうだけど何か足りない。
頑張って言語化(しなくてもいいけど)。
一つは音の切れとテンポのバランス。
「いわゆる」ブルックナーらしいゆったりとしたテンポ。
ただ、このテンポで音の歯切れがいいので、フレーズがバラバラな印象(?という表現でいいのか?フレーズが断片化)。
もっとテンポが速くしても、ちゃんとブルックナーになったのに。
ブルックナーが敢えて断片にしているところはもちろん別。
もう一つは現代音楽を得意とする方と聞いていたので(私の師匠によればDECCAの「退廃音楽シリーズ」の指揮者さんだそうで。家のどこかに一枚くらいありそう)、細やかにバランスを調節なさるのかなと思ったらそうでもない。
たとえばこの交響曲の肝のフーガ。
重なれば重なるほど何だか・・・。音の切れがいいだけに余計。
私が好きだった亡くなった指揮者さんは、冒頭の音を強くするけど、次の楽器群が弾き始めると先行する楽器群の音量をすっと下げていました。
なので、フーガなのにごちゃごちゃしない。
最後はブルックナーの特徴にして謎の得意技、オルガン演奏で響くエコーをオケで再現する部分が聞こえなかったり、聞こえても「エコー」になっていなかったり(普通のフレーズ扱い)。
もちろん素晴らしい箇所もたくさんありました。
第一楽章展開部や第二楽章第二主題はべたつかない流麗さ。仕事で疲弊していただけに「ああ、泣きそう・・・」になったり。
バス、チェロの重々しい、しかしだれない下支えも「ザ・ドイツ(語圏)音楽」。
ブルックナーの音楽で、何だったら金管より大事だと思っている木管群(オーボエの方は音だけでなくお綺麗だった・・・って、セクハラか)も大変に美しかったり。
そういえば、全体的に日下さんの音がオーケストラなのにはっきり聞こえたのも、すごいなあ日下さんと思いました。
が、同時に、あれ?他の方々は?というのも。
なんだろうなあ。
我ながらうるさいなあ。
ご本人が得意な新ウィーン学派あたりの誰かの曲だったら楽しめたのかなあ。
ローター・ツァグロセク指揮 読響 ブルックナー交響曲第5番 2025年2月 於・サントリーホール