体調が優れず。
聴きたいのはブルックナーだけど短い曲で、メインはベートーヴェンの第九。
初台まで面倒・・・・でもチケット代が・・・・と逡巡して、這うように駅へ。
到着するとやっぱりだるい。
私の周りはなぜか垢抜けたカップルばかり。
チっ。
・・・が、いざ始まると優人先生の美しいブラームスの「11のコラールの前奏曲」にうっとり。
ああ、来て良かった。
聴いたことのない曲ですが、静かな曲調と派手すぎない演奏が素晴らしい。
ブラームス最晩年の曲だそうで、彼の手癖というか「あるある、この節回し」がなく、ブラームスの芯(?)を垣間見た気がしました。
さて、ブルックナーの詩編第114。
ここから指揮は雅明先生。
いわゆるブルックナーらしさはなく、ひたすら美しい宗教曲。
とはいえ、トロンボーンと合唱だけという不思議な編成。
マタイで感じる「語る演奏(合唱)」ではなく(SchmerzやRuhなどの語句には多少意味に応じた強弱はありました)、バッハと後期ロマン派は分けているのかなと思いつつ、詩編第112へ。
これが素晴らしかった。
ブルックナーのミサ曲集とモテット集はCDでたまに聞きますが(ミサ曲3番を実演で聴きたい・・・)、詩編は存在さえ知りませんでした。
Youtubeで予習のために聞いていたどこかの演奏より、合唱、オケとも迫力、精度が段違い。
普段のBCJは、時々非力だなと感じることがあるのですが、あれは「抑えている」のですね。
弦セクションや金管で時々「お、ブルックー節!」があるのですが、古楽器だと金管が目立ちすぎず、やかましくなくていい。
ブルックナーの頭の中では、本当は「ああいう」音楽が流れていたのではないでしょうか。
BCJでブルックナーをやってほしいなあ(やっているのかな)。
合唱も素晴らしく、Hallelujaが舞台上を右から左へ移るフーガは美しく、繰り返されるEwigkeitは神々しかったです。
すごく満足。
第九。
こんなに音圧がある演奏をなさるんだと驚きました。
CDだと良くも悪くもBCJですが、実演は別。
とはいえ、モダンオケだと金管で埋もれてしまう聞いたことのない音やリズム(チェロ、ヴィオラ、オーボエなど)を楽しむ、いつものBCJで演奏を聴く喜びを堪能できました。
第二楽章は聞いたことがない繰り返しがあって無茶苦茶長かったのですが、普通の演奏だと第二楽章だけ短いので、あの演奏だと全体としてバランスが良くなるように思いました。
第三楽章はBCJらしい透明感があったのはもちろんですが、感嘆したのが艶やのある音色だったことです。
いつものバッハなどの演奏の時とは違うように思いました。
ロマン派に足を突っ込んでいる第九は別、ということでしょうか。
驚いたのはソリストの登場の仕方。
どこにいる?と思っていたら、各々、歌う直前に袖から現れるという荒業。
バスの加耒さんに聞き惚れましたが、登場なさるとき「おいおい、間に合うか?」とちょっと心配しました(余計なお世話)。
ブルックナーの詩編、CDにしてくれないかなあ。
というか、交響曲第二番あたり演奏していただけないでしょうか。
BCJ 特別演奏会 B&B 第九 ブルックナー生誕200年記念 2024年12月 於・初台