あちこちで書かれているに違いない。虎ツバ・ロス。
法曹界がテーマ?面白そう!と口走ったら、私にしては珍しいと思ったのか妻がムック本を買ってきてくれました。
初めて録画までしてみた朝ドラ。
「カム・カム・エヴリバディ」は深津絵里さんが出てから見ているので、全部は見てません。
戦前から戦後の重要な事件がほぼ描かれている点で大河ドラマ級。
アプレゲール世代の虚無感なんかもさりげなく描かれていたし。
伊藤沙莉さんの演技が凄いのは言うまでもありません。
印象に残ったのは戦後の寅子の笑い方で、「顔を前にだしてその後顎を引く、そうそう、おばちゃんは(すいません)こういう笑い方するよねー」とひたすら感動。
若い頃の寅子と全く別人。
仲野さんも、泣きそうになるのをぐっと我慢するあの演技は何回観ても泣けます(涙を見せないのがいい!)。
女性を描いたという点で見事だなあと思ったのが身体性にきちんと触れていたこと。
生理が重いとか更年期とか、朝ドラで初めてではないでしょうか?
抽象的に男女の平等がぁーでなく、もっと具体的で身近なdisadvantageをからっと描く。
あと、どんなに「女性に理解がある」ようでも「結婚したら家に入るんだよね」「子育てで仕事はやめるんだよね」というモードに入る男たちの悪気のない態度が、差別しているつもりは毛頭ないからこそ一層女性にとって絶望的であることも、声高でなく描かれていて良かったです。
また子育ての難しさまで描かれ、中盤は見るのがしんどい時期がありました(録画がたまって困った・・・)。
見ていて参考になる(といってももう遅い)のが、女性脚本家の描く男たちのなんと魅力的なことよ。
桂場しかり(顔上半分しかめっ面で下半分でにこっとする、あのシーンはよかった。筋を通してへらへらしない、ああいう男になりたかったなあ。愛想がないところしか似てない。無念)。
多岐川しかり(いい加減そうなんだけど、上野のあの場面が全ての始まりなのが泣ける)。
轟しかり(仮面ライダーウイザードから、こんなに成長して。「お前は花岡のことが好きなんだももんな」と言われてハッとするところから俺には分かっていたよ。俺には分かる)。
今回、無茶苦茶驚いたのが土居志央梨さん。
役から降りるととんでもなく上品な雰囲気で別人。
調べると「グリークス」でエレクトラ(!)をなさっていた。
観たかったなあ・・・
米津さんの歌は相変わらず「脚本を全部読んだのか?」という歌詞だし、ラスト近く、桂場に寅子さんが「私は一周まわって私に戻ったというか。私は私だったと思います」的な台詞があったと思います。
あれは脚本家さんの米津さんへのアンサーではないかと。
「さよーならまたいつか」で「私は私でよかったんだ」という歌詞があるから。
ああ、明日から何を糧に生きていこう・・・・・
NHK朝の連続ドラマ「寅に翼」 2024年前半期