これも夏休み中に購入した一冊。
おそらくほとんどの著者は心理士(師)さんだと思う。
共通するテーマは、身体性、イメージ、心的な傷。
新しい治療法を学びたいというより、現場でどう工夫したのかを知りたくて購入。
なので、理論先行か先行のように書かれているものは、読む速度を少しはやめた。
脳のどこそこが何々に関連して・・・と詳しく述べられている治療法があるのだが、この種の報告はたいていnが少ないし、反する結論の論文が多いこともある。
そもそも出てくる部位はたいてい同じ(前帯状回やら島部やら前頭葉背外側やら逆に内側部だったり)で、機能と部位の関連性や特異性は分からないことの方が多いと思う。
とはいえ、理論先行ではなくとも、”あれこれやっているうちに辿り着いた”という一文だけの論文もあり残念。
”あれこれ”こそ知りたかった。
技法で面白いと思ったもの。
とはいえ、私は出来なさそう。
フォーカシングでは、イメージに自分を登場させ、そのイメージの自分に共感に満ちた発言を投げかけるように想像する(p32)。
交代人格、あるいは過去の自分は、患者さんにとってつらいことを抱えてくれていた存在である。
だから、感謝と謝罪を伝える(p70、78)。
これはちょっと目から鱗。
条件刺激反射法は面白いのだが、行動療法の変法で、穏やかに嫌悪刺激を与える方法と考えるのは見当違いだろうか。
ただ「穏やか」と「嫌悪」は、本来、矛盾するのに、これらを結びつけられているのが素晴らしい工夫だと思う(p176)。
イメージの中で対話を試みる方法もあったが(第5章、第9章)、ちょっとピンとこなかった。
そんなにうまくいくだろうかと思ってしまう。
最後のP循環療法。
これは面白い!
しかし、どうやって実行したらいいのだろう。
私がやるとすごく胡散臭くなりそう。
東先生のようなヴェテランで信頼感のある方だからこそ、おできになるのではないかと思う。
まずは、さしあたって自分にやってみようと思う。
池見陽ほか「新しい日本の心理療法」 遠見書房、東京、2022